米国のマイク・ペンス副大統領の対中政策を伝える演説が2019年10月24日(現地時間)、米国ワシントンのウィルソンセンターで行われました。この演説は、以下の過去記事で次の通り伝えていたものです。
PJA NEWS)”中国に消された”国の実情を漫画に!「その國の名を誰も言わない」 (2019年9月23日)
https://pattayaja.com/2019/09/23/6560/

2019年9月6日、米のホワイトハウスのミラー副大統領副報道官は、マイク・ペンス副大統領が中国に関する政策演説を今秋、ワシントンの政策研究機関「ウィルソン・センター」で行うことを明らかにしました。

この秋の政策演説は、中国の習近平体制による新疆ウイグル自治区での人権抑圧や香港情勢などで習体制を批判する内容になるとみられており、人権・民主化問題でも中国に全面的圧力を加えていく立場を鮮明に打ち出すと見られています。

演説は1時間強にわたり実施されました。

演説の全内容は、英語以下でご覧下さい。

<2019年10月24日(現地時間) 実際の演説の動画>



<演説の全内容の日本語版>
以下で良質な翻訳がされていますので、ご紹介します。
演説で引用されている「カデットの祈り」についても引用し翻訳がされており、非常にわかりやすい良訳です。

【米国:必読スピーチ】フレデリック・V・マレック記念講演でのペンス副大統領の発言(全文翻訳) (2019年10月25日)
https://www.newshonyaku.com/17869/

実際の演説の全内容は上記でご確認いただくとして、今回の対中政策方針を語る演説のポイントは大きく以下のようなポイントがあると思います。

1.対中国共産党政府の侵略に対抗するため、インド太平洋方面の軍事力を強化

2.中国共産党政府による、ウイグル族など少数民族の弾圧への非難

3.中国共産党政府による、香港で自由と権利を求める民衆への弾圧の非難と、香港民主派への支持の表明

4.中国共産党政府の脅威に晒されている台湾への支持の表明

5.中国共産党政府による、対外覇権主義、知的財産権の侵害、監視国家の設立と、その監視技術輸出の非難

6.日本の尖閣諸島について、フィリピン、マレーシア、ベトナムと共に脅威に晒されていると非難

(米マイク・ペンス副大統領
写真は2018年2月8日、日本の横田空軍基地での演説の様子
写真:米国防総省 撮影:米空軍Matthew Gilmore空士長)

演説では上記のポイントを指摘した上で、米国はトランプ大統領の意向として、米国は中国との対立や分断を望んでいるわけではないと語りました。

米国は中国と共に、相互に協力し合える合意形成を望んでいるとして、中国共産党政府への配慮を窺わせる内容で締めくくられました。

演説を受けて中国共産党政府は反発を強めています。
中国外務省の華春瑩報道局長は会見で「政治的な偏見とデマだらけだ」と語り、台湾、香港、新疆ウイグル自治区に関する事柄は中国の内政であり、外部勢力の内政干渉は絶対に許さない」と反発しています。

これについて、日本のANN Newsが以下のように伝えています。



中国政府は、アメリカのペンス副大統領が演説で中国を強く批判したことについて、「政治的な偏見とデマだらけだ」と反発しました。
中国外務省・華春瑩報道局長:「ペンス副大統領の発言は去年10月と同じく傲慢(ごうまん)と偽善そのもので政治的な偏見とデマだらけだ。中国側は強烈な憤りを表明し、断固反対する」
 ペンス副大統領は演説で香港のデモ参加者への支持を表明したほか、中国のウイグル族弾圧などに言及しましたが中国外務省は、「内政問題に干渉し、中国の安定と発展を阻もうとしている」と批判しました。ただ、「重要な時期である」との認識も示していて、対話を継続させる意向を明らかにしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

上記の通り、今年のペンス米国服大統領の対中政策演説は中国共産党政府の覇権主義、知的所有権侵害、少数民族への弾圧を非難し、日本の尖閣諸島問題を含めて牽制する内容でありながらも、一方で中国共産党政府側に、一定の配慮を見せる内容となりました。

タイも含めた関係各国では、米中貿易戦争の影響が大きくなっていますが、今後の推移がどうなるかに世界的な注目が集まっています。

PJA NEWSでは、ウイグル族への弾圧については以下のように、日本語の漫画も含めて告発を伝える取り組みをご紹介してきました。この演説により、中国の共産党政府が香港で行っている弾圧だけでなく、新疆ウイグル自治区で行っている少数民族への弾圧の実態にも、国際的な注目が集まりそうです。

また、ペンス副大統領が演説で指摘している通り、中国共産党政府は現在、日本に対しても尖閣諸島の領有権を主張し脅威を増しています。さらに沖縄や北海道などへも進出の意図が明らかな状況にありますから、このウイグル族の姿や、香港で戦う人々の姿は、日本人の明日の姿となるかもしれません。

pattayaja.com  2019年10月28日
https://pattayaja.com/2019/10/28/7269/