米国務省は13日、世界各国の人権状況に関する2018年版の年次報告書を公表した。マイク・ポンペオ国務長官は人権状況が悪化しているとして、中国、イラン、南スーダン、ニカラグアを名指しして批判した。特に中国については「人権侵害はケタ外れ」と指摘した。
中国 習近平
 この中でイランが上位に挙がっているのは、米政府の意見がかなり反映したのだろう。もうひとつ、ニカラグアを挙げるなら、グアテマラも上位に入れてほしかった。そんなわけで、米国の指摘には少し異論もある。しかし、中国が人権侵害で抜きんでていることは間違いない。

 新疆ウイグル自治区では100万人以上のウイグル人が強制収容され、虐待や拷問によって「中国化への再教育」が進められているという。一方、中国政府の新疆ウイグル自治区をめぐる「白書」によると、ウイグル族が不当に拘束されているという外国からの指摘に対して、テロを予防するための職業訓練が目的だ、として事実上拘束を正当化している。

 香港も含め、中国では反政府的とされるジャーナリスト、弁護士、ブロガー、請願デモをした人たちに対して、超法規的な殺害、拉致、厳しい環境下への拘束、拷問が行われている。ネットの検閲やブロッキング、集会、結社の自由の侵害など枚挙にいとまがない。

 現在、中国の決済は顔認証になっているが、そのデータは共産党政権に渡さなくてはならず、集会を開いた場合、誰がいるかということが瞬時にわかってしまう。

 また、「信教の自由」もない。共産党という宗教を信じなさい、と言っているだけだ。さらに「三権分立」も機能していない。捜査、逮捕、判決まで全部、共産党政権がコントロールしている。それが中国の現実だ。

 習近平国家主席が政権を握ってから、ウイグル族だけでなく、チベット族など少数民族への圧迫はさらに悪化したといわれている。

 今週の米誌「TIME」の表紙の人物について、「だれかな?」と思ってよくよく見たら、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世だった。現在83歳。非常に年をとった印象もある。今月はインドに亡命する契機となった「チベット動乱」から60年。それで表紙に選ばれたわけだ。

 チベット亡命政府があるインド北部のダラムサラから「故郷の村に帰りたい」と祈りをささげているかもしれないが、この人が故郷に帰ることはないだろう。

 ダライ・ラマが高齢になり、後継者についての論議もある。本来なら、ダライ・ラマが承認した「神のお告げの少年」が後継者だが、すでに中国政府がそのパンチェン・ラマ11世を連行して、自分たちの都合のいいように操ろうとしている。

 これに対し、ダライ・ラマは「次の不幸な人を選ぶことはしません。私限りでダライ・ラマは終わりです」と悟りきったようことを言っている。

 この人は世界を旅して「中国政府を何とかしてください」と訴えているが、私はなぜ中国政府と直接話し合わないのか、不思議で仕方がない。米国のドナルド・トランプ大統領ではないが、そこでディール(取引)をすればいい。

 中国がしたたかに後継者を意のままにしようとする中、私はダライ・ラマの政治力にも、ちょっと足りない部分があるのではないかと思う。

2019.3.25 zakzak.co.jp
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190325/soc1903250001-n1.html