首都圏に在住する30代男性のウイグル人が産経新聞の取材に応じ、新疆ウイグル自治区で強まる人権弾圧の実態を語った。

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 在日ウイグル人は、子供たちにウイグル語を教えたり、日本人との交流イベントを開いたりしていて、大半の人は政治的な運動に関わってきませんでした。
 しかし、今年に入ってウイグルでの悲惨な状況が次々に伝わってきたため、「われわれの民族のために何かできることはないか」と、中国政府への抗議デモに参加する人が増えています。私も参加しました。ただし、顔が知れると家族や親類に危険が及ぶと思い、マスクで顔を隠しました。家族らとは、SNSなどを通じたやりとりも控えています。外国と通信したという理由で強制収容所送りにされかねないからです。


 100万〜300万人が各地で強制収容されたといいます。

 「再教育施設」という名の強制収容所に入った人の話が伝わってきたのは去年の春ごろでした。今年に入ると、私や友人の知人らが何人も連行されました。かつて観光などで日本に渡航したというのが理由です。ある女性は収容所の中で鬱病のようになり、体重が半分ぐらいにやせて、病院に送られました。

 妻子を残して収容された男性もいます。男性の夫人は無職で、どうやって子供たちと暮らしていけばいいか、路頭に迷っています。

 聞いたところでは、収容所では起床後、両手を頭の後ろで組まされ、しゃがんだ姿勢で45分間座らされる。朝食後は2時間座らせて、中国共産党や習近平国家主席を賛美する歌を唱わされる。イスラム教が禁じている豚肉も食べさせられる。要するに洗脳です。

 10年ぐらい前は街で男性がヒゲを生やしたり、女性が頭髪を隠すヒジャブ(スカーフ)を着用したりしていても問題はなかった。ですが3、4年ほど前からヒゲの男性やヒジャブをかぶった女性が捕まるようになった。


 カザフ族、回族などイスラム教を信仰する他の少数民族も弾圧対象です。この1〜2年で8千カ所のモスクが破壊されたと聞きます。

 宗教弾圧の次は言語・文化への弾圧です。今や現地の学校ではウイグル語の使用が禁止され、ウイグルの歌を唱っている人も捕まえられる。ウイグル人は土葬なのに、火葬場がどんどん造られています。

 以前からあった弾圧が一層厳しくなったのは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」と関係があるのではないか。私たちの故郷は「一帯一路」の要衝であるため、周辺のイスラム教の国々からの人の往来が活発になるでしょう。中国当局は国内外のイスラム教徒が結びつけば中国の脅威になると一方的に考え、懸念を払拭するため、自治区内でイスラム教の要素を徹底的に破壊し、漢民族に同化させようとしている。こうみています。


2018.10.26 産経
https://www.sankei.com/world/news/181026/wor1810260004-n1.html