国連の委員会が中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区で少数民族が大量拘束されていると懸念を示した問題で、同自治区の治安当局者は産経新聞に対し、再教育施設「教育・転化センター」に多数のイスラム教徒を強制的に収容している事実を認めた。一定期間、中国語や国家の法律・規則などの教育を行っているという。中国政府は大量拘束や強制的な収容について全否定している。
 イスラム教徒による暴動が頻発する新疆ウイグル自治区では、中国当局が治安維持を名目に、住民監視を徹底して行うなど人権侵害が問題となってきた。

 8月には国連人種差別撤廃委員会が「(同自治区に)大規模な秘密の収容所が存在することを示す報告が数多くある」と懸念を表明。「ウイグル族ら100万人以上が収容されている」との見方も示したが、中国政府代表は「完全な捏造(ねつぞう)だ」と否定していた。

 これに対し、同自治区の治安当局者は、ウイグル族などイスラム教徒を対象にした収容施設の存在を認め、強制的に教育を受けさせていると証言した。

 同当局者は約20万人が居住するある地域を例に挙げ、「教育・転化センターと呼ばれる施設が8カ所にあり、施設ごとに約3千人を収容している」と指摘した。この地域では全住民の1割以上が収容されていることになる。同地の収容期間は最低5カ月という。

 またこの当局者は、少数民族は中国語の能力が極めて低く、国家のルールについても無知だと強調。施設では中国語や中国の法律などを学ばせているとした。その理由に関しては「彼らが働けるようにするためだ。仕事がないと、社会的な問題を引き起こす可能性が高くなる」と主張した。

 8月の国連人種差別撤廃委で中国政府代表は、同自治区に強制的な収容施設が存在することを否定する一方、「軽微な罪を犯した者を職業技術教育就業訓練センターで学ばせている」と説明している。

 しかしこの当局者によると、「軽微な罪」とは関係なく強制的な教育が行われているのが実情のようだ。同当局者は「路上で職務質問を2つ3つすれば、トラブルを起こしそうな人間かどうかはすぐわかる」とし、職業の有無や信仰の度合い、海外に知人がいるかなどを質問し、再教育施設に収容するか否かを決めている実態を明らかにした。

産経 2018.9.16
https://www.sankei.com/world/news/180916/wor1809160004-n2.html