米グーグルが中国で検閲を容認する検索システムの投入を目指している問題について、複数の米メディアがスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が社員らに「まだ先のことだ」と語ったと報じた。中国政府の意向に沿うような検索ビジネスの実施には社内外で慎重論がある。2010年に撤退して以来の同社の中国再参入は今後も曲折を経そうだ。
ブルームバーグなどが社内関係者の話として報じた。16日に開いた社員向けの定例会議で、ピチャイCEOは「検索製品をすぐに中国で投入するわけではない」などと述べたもよう。さらに「実際に投入するのか、あるいはそれが可能なのかも含めて全てがまだ不透明だ」とも話したという。

 グーグルによる中国向けの検索システムの開発計画は8月上旬、米ニュースサイトの「ジ・インターセプト」が報じた。投入には中国当局の検閲を受け入れる必要があり、報道で計画を知った社員らが反発。計画の説明を求める1000人規模の署名運動が社内で起きた。

 ピチャイCEOの発言はこうした社内の不安に配慮したものと見られる。同社は6月にも、国防総省主導の無人飛行機事業への人工知能(AI)技術の供給について社員の反発を受けて計画を取りやめている。今回の中国向け検索事業は米政治家からも倫理上の問題を問う声が出るなど内外で批判が出ている。

 ただ、ピチャイCEOは「(世界の人に情報にアクセスの機会を与える)我々の使命を中国で展開することには非常にオープンでいる」とも発言したもよう。グーグルの中国再参入に向けた試行錯誤と論争はしばらく続きそうだ。>>> 全文

2018/8/18 5:12