党指導部による解放軍への“対策”で
明確になりつつある2つの特徴
「解放軍内の粛清は史上最大級だろう。軍位の売買、それに伴う金銭のやり取りはもちろんのこと、これまでは許されていた軍としての営利活動や企業運営、そして灰色収入の獲得も固く禁じられている。正常な接待ができないから軍内でまともなコミュニケーションが取れない。茅台酒すら安心して飲めない」
 最近、定年を前にして自ら解放軍少将の地位を捨てた元空軍幹部が筆者にこう言った。「私はようやく自由になった」と笑顔を見せるこの人物、辞職後は約30年間の“軍内生活”で積み上げてきた人脈や経験を生かしながら「一人の中国人民として」(同元幹部)コンサルティング業務に従事している。

 2012年秋、共産党の第18回大会を通じて習近平が総書記に就任して以来、党指導部の解放軍への“対策”には2つの特徴と傾向が明確に、かつ日を追うごとに見受けられるようになってきた。

 一つは“反腐敗闘争”である。

 共産党の指導部・最高指導者にとって、軍部をいかにして掌握し、支配下に入れるかという問題は最重要課題であり、共産党一党支配体制が続く限り永遠の課題だと言えるが、習近平は“反腐敗闘争”を通じて軍内を粛清しつつ、軍部に対する掌握力と支配力を徹底的に強化しようとしてきた。

 18回大会以来“落馬”した少将・上級大佐(中国語で“大校”)以上の解放軍幹部は90名以上に及んでいる。そこには徐才厚、郭伯雄両中央軍事委員会副主席・上将も含まれる。また、18回大会から昨年10 月に行われた19回大会直前までの約5年間で、腐敗が原因で処分を受けた軍人は1万3000人以上に上るとされる(中央軍事委員会紀律検査監察局梁文剛副局長が昨年9月《新京報》など中国メディアに伝えた)。

>>>全文

2018.7.17 ダイアモンドオンライン