中国に偏り過ぎた政策を転換、日本との関係強化を目指す

 アジア人で初の米国野球殿堂入りが確実で、スペシャル・アシスタント・アドバイザー(会長付特別補佐)に就任し、「50歳まで現役」を公言するイチロー。

 そのイチローについて、所属のマリナーズのディポト・ゼネラル・マネージャーは「イチローの真摯な職業倫理感、入念な試合に対する準備への姿勢はいろいろな意味でチーム全体の環境を良くする。すべての選手の良き指導者で、大リーグ史上に残る偉大な選手だ」と絶賛する。

 今、米大リーグがイチローを通して、高く評価する「日本人の職業倫理感や職場での規律正しさ」を海を越えて、約60年前にいち早く気づき、その後、自国の政策の見本にした指導者がアジアにいる。

 マレーシアのマハティール首相だ。与党から野党の指導者に転じ、先月、61年ぶりの政権交代を果たし(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53065 マハティールの野党勝利 61年ぶりの政権交代)、15年ぶりに再び、首相に返り咲いた。

 そのマハティール首相が11、12日に首相就任後、初の外遊先として日本を訪問する。筆者はマハティール首相の随行記者団として取材する。

 来日前(マレーシアで)、我々記者団に対して、かつて日本の経済発展をモデルにした「ルック・イースト」の復活を表明したいと語っていた同氏は、“新ルック・イースト”を引っさげて、来日する。

 今回の来日は、国際会議(日経新聞主催「アジアの未来」)出席のための「私的な訪問」で、滞在日数はほぼ2日と短い。

 新政権スタートから1か月。ナジブ前政権から引き継ぐ膨大な負債財政、1MDBに関するナジブ前首相夫妻や政府・国営企業関係者の腐敗や汚職への追及や訴追、さらには本コラムでも触れてきた中国の“融資トラップ”による一帯一路関連の大型プロジェクトの中止を含めた国内インフラ事業の全面見直しなど国内問題は山積だ。

(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53132、一帯一路のマレーシア東海岸鉄道計画中止か、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53206、マレーシア高速鉄道計画中止は英断 日本にも転機)

 こうした問題への早急の協議と評価判断への対応が迫られる国内事情を背景に、早足で日本を訪問するマハティール首相。

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2018.6.11 JB Press