中国の裁判所は22日、先祖伝来の言語であるチベット(Tibet)語の保存を推進する活動家に対し、「分離主義を扇動」した罪で懲役5年を言い渡した。これに対し国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、「愚の骨頂」と非難した。
 実刑判決を受けたタシ・ワンチャク(Tashi Wangchuk)さんは過去に、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)制作のドキュメンタリーに出演。取材班は、タシさんが「チベット語使用の衰退」への対処を求めようと、中国国営メディアや裁判所に訴えるため首都北京を訪れた時の様子を追った。

 タシさんの弁護士によると、判決は青海(Qinghai)省玉樹チベット族自治州玉樹(Yushu)県の裁判所で言い渡されたという。

 同紙がタシさんの活動に関する記事を掲載し、ドキュメンタリーを公開して間もない2016年1月以降、タシさんは故郷の玉樹で身柄を拘束され続け、家族との接触も認められていない。

 弁護士はAFPに対し、「タシさんは上訴する意向。私は彼が何の罪も犯していないと信じており、われわれはこの判決を受け入れることはできない」と述べた。

 タシさんは今年1月の裁判で無罪を主張。しかし中国では、裁判所で争われるほぼ全てのケースで有罪判決が下るのが常となっている。

 アムネスティ・インターナショナルは判決を「目に余る不正義」と批判。同団体で東アジア調査部門の代表を務めるジョシュア・ローゼンツバイク(Joshua Rosenzweig)氏は「チベット語のための平和的な活動を『分離主義の扇動』とみなすのは愚の骨頂」だと述べた。

 先のドキュメンタリーは、タシさんのこのような言葉で終わっている。「幽閉されたり、自分の意思に反する発言を強要されたりするなら、私は自死を選ぶだろう」

2018年5月22日  AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3175582