軍事力を支えに、覇権的な路線をより強化する方針というしかない。

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が党大会の冒頭の活動報告で述べた内容である。

 過去5年間の成果として、「南シナ海での人工島建設を積極的に推進した」ことを挙げた。
 さらに、東・南シナ海での中国公船の活動活発化を念頭に「海洋権益の維持を有効に遂行した」とも述べた。

 力を背景に他国・地域の権益を侵し、それを政権の成果として誇る。そういう国がすぐ近くにいることを直視せねばならない。

 5年前、習氏は沖縄県石垣市の尖閣諸島を奪取しようとする路線を掲げて総書記に選出された。中国公船の領海侵入などは、いまも続いている。

 また、中国の南シナ海に対する主権の主張は、昨年7月の仲裁裁判所判決で全面的に否定されたが、無視を決め込んでいる。

 習政権はこの党大会を経て、2期目を迎える。周辺国・地域からすれば、習氏が安定基盤を得て国際法を順守し、他の権益を侵さない姿勢に転じることも期待したかったが、結果は逆だった。ルールを無視して海洋権益を露骨に拡大しようとしているのだ。

 長時間に及ぶ報告で、習氏は「社会主義現代化強国」の建設という目標も掲げた。こうした指導理念を党規約に反映し、自らの権威を高めるとみられている。

 見過ごせないのは、「強国」を支えるための「強軍」という、さらなる軍事拡大方針である。

 中国は軍事政策や国防費が不透明だと国際社会から批判を受けながら、四半世紀余りにわたって急激な軍拡を進めてきた。

 その上さらに、今世紀半ばに人民解放軍を「世界一流の軍隊」にすると言い切った。日米の軍事力を圧倒する意味だろう。こうした中国の姿勢について、日米間で十分に協議し、対応を考えることが欠かせない。

 台湾問題では、「分裂」を絶対に認めないと強い言葉で訴えた。対話が中断している台湾の蔡英文政権への警告であり、台湾海峡の動静にもより注意が必要だ。

 大会を経て選出される次期指導部は、習氏の側近らが占めることになろう。共産党独裁下で推し進められる「強国」路線に対し、これまでにも増して重大な警戒が求められる。

産経 2017.10.19
http://www.sankei.com/world/news/171019/wor1710190003-n1.html