チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(81)は今月、インド北東部アルナチャルプラデシュ州を訪問し、現在のダライ・ラマ法王制度の存続の必要性について、チベット仏教指導者による協議を年内に始めたいとの考えを明らかにした。

 同州タワンで記者会見したダライ・ラマは、ダライ・ラマ制度を存続させるかどうかは「チベット人次第だ」と従来の主張を繰り返す一方で、多くの人が厚い信仰心を持っているとして、制度存続に肯定的な考えも示唆した。

 そのうえで、数年前、チベット仏教指導者の会議で制度継続の必要性が協議された際、「私の年齢が80代後半か90代になったときにもう一度会議をし、いくつかの重要事項について決めることになった」と明らかにし、「さしあたり今年、何らかの予備的な会議を始めたい」と表明した。

 チベット仏教で観音菩薩の化身とされるダライ・ラマは、後継者の15世選びについて、2011年の声明で、「再臨者の代わりに、自らの使命と祈願に関係のある浄業の別の人物を化身として認定したり、自分の弟子や他の若い世代の者を宗教的に任命し、化身として任命したりすることも起こりうる」と発表し、「生前譲位」の可能性に言及している。

 ダライ・ラマの没後に次の生まれ変わりを探す従来の輪廻(りんね)転生の選び方とは異なるが、会見で15世への輪廻転生について問われた際には、「私が死ねば何らかの兆候があるだろう。だが、今は何の兆候もない」「急を要する話だろうか」とし、「15年か20年後に問われるべき質問だ」と明言を避けた。

 輪廻転生した再臨者の15世がタワンから現れ、今回の訪問は後継者選びと関連しているとの指摘があることについては、タワンだけでなく、カシミール地方ラダックや中国、さらに欧州諸国の人々からも再臨者がそれぞれの地域から出るべきだと主張していることを引き合いに出し、「1つの魂をどうやって分けるのか」とかわした。(タワン 岩田智雄)

     


 【輪廻転生制度】 全ての生き物は輪廻転生するとのチベット仏教の教えに基づき、最高指導者ダライ・ラマを含む活仏の死後、その生まれ変わりである子供を探し、後継者とする制度。亡命中のダライ・ラマ14世が死亡した場合、中国政府が中国国内で後継者を選定してチベット統治に利用することが懸念され、輪廻転生制度の存否はチベット問題の行方に直結すると考えられている。

2017.4.26 産経
http://www.sankei.com/world/news/170426/wor1704260038-n1.html