中国を追放されたチベットの精神的指導者ダライ・ラマの長年の友人と認められている、米ゴールデン・グローブ賞受賞俳優のリチャード・ギア氏は仏教徒で人道主義者として知られる。米映画紙ハリウッド・レポーターのインタビューで、ギア氏は、中国側で自らが拒否されているということに言及した。
 1993年のオスカー賞での即興演説で、中国のチベット政策を批判。人権弾圧に抗議するため2008年の北京オリンピックへのボイコットを呼びかけた。2016年には米下院議会の人権委員会公聴会に招かれ、チベット問題で持論を述べた。ギア氏は、中国への入国禁止人物となっている。

 1993年の当時の原稿を無視したスピーチでは「臂平とその子、孫が(中国の社会を)きちんと見ているか。恐ろしい人権侵害があるということを。中国だけでなく、チベットにも」「北京にいる臂平に、愛と真実と誠実さを送りたい。兵隊をチベットから去させて、人々が自由に生きられるように」と述べた。

 このスピーチ以降、映画俳優としての活躍の場が激減した。ハリウッドはギア氏の出演を抑制して、中国という、世界に2番目の興行収入をあげる国を怒らせるようになっていった。

 「最近も、私(ギア氏)が中国を怒らせる出来事をしているから、出演する映画に出資できないという話を聞いた」。

 問題視されたのは、1997年の出演映画『北京のふたり(Red Corner)』で、ギア氏は、殺人犯にでっちあげられてしまう中国駐留アメリカ人ビジネスマンを演じた。ギア氏によると、作品の出来には誰しもが満足していたというが、突然、プロデューサー企業のMGMが広報活動を中止。ギア氏の話では、MGMは中国側から映画を購入しないと脅されていたという。

 大型スタジオ撮影のふくまれる出演作は、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞した『シカゴ』(2002年)が最後。最近では中国市場向けではない小さなインディーズ映画を作成したり出演したりしている。

インディー映画でも 中国の脅し
 最近でも、中国人監督の作品に出演予定だったギア氏だが、監督は身の安全を恐れて、出演がキャンセルになった例がある。「私が出演すれば、この監督と家族は中国から離れることは許されなくなり、キャリアが失われる」とギア氏は語った。

 こうした妨害にも屈せず、ギア氏は堂々と中国の人権問題を指摘してきた。2012年のインドのメディアには「誰も偽善で生きたいとは思っていません。中国は世界最大の偽善者」と語った。2016年の米下院の人権委員会に出席し、チベット問題で証言。ここでは獄中死した、チベット高僧の写真を掲げ、「信教の自由が侵害され、厳しい人権状況と不正に耐えているチベットの悲劇」と述べた。