4月に米国で行われるユースを対象とした大きなトーナメント大会に向けて調整が行われ、渡米の準備も着々と進めてきたサッカー・チベット女子代表チーム。2011年に結成され、今年はチームとしての大きな成長を目指したかったようだ。しかし渡米のためのビザが発給されないもよう。選手たちはショックに打ちのめされているという。
『shanghaiist.com』が伝えたところによれば、サッカー・チベット女子代表チームが渡米を希望した目的は4月9日から16日までテキサス州ダラスで開催される『ダラスカップ2017』というユースのための国際大会に出場するため。10日の滞在の間にNBAの試合を観戦し、水族館や巨大遊園地で遊び、カレッジの女子チームと合同トレーニングなどを行い、ホームステイを経験。初めての渡米、異文化交流をそれは楽しみにしていたという。

現地に飛んで綿密な計画を練ってきたのは同チームのオーガナイザーを務めるキャシー・チルダーズさん。1年前にイングランドの元選手であるゴードン・ジャゴ氏から連絡を受け、「一生の記念になることだろう。全費用を負担するから彼女たちをダラスカップに参加させてあげたい」と声を掛けられたという。1年間という期間と5,000ドルものお金を費やしながら準備を進め、選手全員が満を持してインド・ニューデリーの米国大使館にてビザ取得の申請を行っていた。

しかし先週、彼女たちに届いた返事は「却下」という残念なものであった。不動産投資やビジネスが目的ではない、観光ビザが下りなかったことにチームの失望感は非常に大きい。しかし失った5,000ドルだけは取り戻したいとしてチームはその後にクラウドファンディングを設定。多くの同情が集まったこともあり目標額を超えるのに4日は要らなかった。

このチームはインド・ウッタラーカンド州のデヘラードゥーンでチベット難民の女子により結成されたが、国家として認められていないチベット亡命政府のチームに対する国際サッカー連盟(FIFA)の対応は厳しいものがあった。彼女たちは2年前に「チベットスポーツ協会(Tibetan National Sports Association)」を離脱し、米ニュージャージー州でNPO組織としての登録を図ったことでチベット亡命政府からも突き放されてしまったという。

あまりにも事情が複雑化していたチベット女子代表チーム。このたびの渡米ビザ却下をきっかけに、トランプ米大統領による外国人の厳しい米国入国制限、FIFAの方針、インド政府の難民政策ほか彼女たちのサッカー人生に立ちはだかるさまざまな障壁が浮き彫りとなった。またパスポートを得られないため選手たちは海外に出ようとすれば難民証明書で出国し、帰国時にはインド政府の許可が必要となる。2001年には親善試合に招待されてデンマークに遠征した男子選手の数名が、政府の再入国許可を拒否されていたという。

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