朴槿恵大統領を巡る大スキャンダルに揺れる韓国ですが、ここに来て朴政権の命運が尽きるような事態に見舞われています。韓国が発表した早期の「THAAD(高高度ミサイル防衛システム)」配備を認める決定に中国が激怒、国内から韓流を締め出す「限韓令」を全面適用すると通知したのです。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、朴大統領が中国に近づきすぎた代償だと一刀両断した上で、現政権が倒れた後に北朝鮮寄りの政権が誕生する可能性もあるとの見解を記しています。

【中韓】中国への接近策が命取りとなった朴槿恵大統領

● 中国、「限韓令」を全面適用
朴槿恵大統領が友人に国政介入させたことで大揺れの韓国ですが、追い打ちをかけるように、中国が国内で韓流ドラマの放送や韓流スターの出演を禁止する「限韓令」を全面適用する通知を行ったそうです。

以前にもこのメルマガで「限韓令」についてはお伝えしましたが、より強化されたということになります。11月20日、「芸恩網」や「騰迅娯楽」など、複数の中国インターネット芸能ニュースが、「限韓令(韓流禁止令)、全面アップグレード」というタイトルで関連内容を報じたそうです。

● 裏切った韓国に復讐。THAAD配備の報復で中国が「韓流」締め出しへ

中国政府による公式な文書は出ていないものの、韓国ドラマや映画、芸能番組、そしてそれらをリメークしたコンテンツはすべて放送禁止になるとのことです。加えて、韓国の団体の中国内の演出禁止、新規韓国芸能企画外者に対する投資禁止、1万人以上を動員する韓国アイドルの講演禁止、韓国ドラマ・芸能協力プロジェクトの締結禁止、韓国芸能人が出演するドラマの中国国内での放送禁止といったことも含まれていると報じられています。

さらには、韓国企業やブランド、広告モデルなど韓国を表すあらゆる要素についても放送を禁止する条項もあるといいます。そうなると、サムスンやヒュンダイといった韓国企業のCMも流せなくなります。韓国製品の売れ行きにも影響を与えるでしょう。


中国がこのように厳しい対韓姿勢に転じたのは、今年の7月に韓国政府が在韓米軍のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備を認める決定をしたからです。これに中国は怒り心頭で、さまざまな圧力を韓国に対してかけてきました。今月16日には韓国国防省がTHAAD配備を急ぐと発表したことを受け、さらに態度を硬化させた形になります。

すでに中国国内で放送されるドラマで、韓国人俳優の出てくるシーンが全面削除されたり、韓流スターを起用した広告が中国人モデルに差し替えられたりということが行われているそうです。

もちろんこれは、韓国芸能界だけの問題ではありません。観光資源に乏しい韓国は、韓流ドラマを通じて、観光客をロケ地に誘致することも行なってきました。日本でも、「冬ソナ」がブームになったことで、ロケ地を訪れる日本人観光客が飛躍的に増えたことがありました。「限韓令」は観光業にも大きな影響を与えることは間違いありません。

中国は芸術でもスポーツでも「すべてが政治」ですから、こうした圧力は当たり前のようにやってきます。日本でも「政治と文化は別」「政治とスポーツは別」などとよく言われいますが、当の中国はそうは思っていないのですから仕方ありません。そこに中国との文化交流やスポーツ親善の難しさがあります。

当然ながら、中国が「限韓令」を出した背景には、遠交近攻という国策も関係しています。とかく近くの国とは仲良くならず、攻めて支配下に入れたほうが管理がしやすいという孫子の兵法でもあります。

もちろん、中国の民族蔑視も大いに関係があります。中国人が外夷としてもっとも軽んじてきたのが韓人と越人でした。張作霖は満州を支配していた時代に「朝鮮人は一人も満州に入らせない」と豪語していました。

韓人対漢人の最大の民族対立として知られる事件は、1931年に起きた「万宝山事件」です。これは吉林省の万宝山で、朝鮮人の移住農民と漢人農民が、水路を巡って争った事件です。漢人農民は、朝鮮農民の子供を捕まえて指を切り落として農事をさせないようにするといった蛮行に及びました。これにより、朝鮮半島全域で反シナ人運動、シナ人排斥運動が巻き起こりました。戦後は、この朝鮮人の反シナ人感情は、日帝がそそのかしたものだと伝えられていますが、それは違います。

今回の「限韓令」で韓国が大騒ぎするのも、結局、そうした中国の民族的性質や両民族の歴史的背景があるにもかかわらず、中国に傾斜しすぎたことが原因のひとつです。

朴槿恵政権は誕生したときから日本を批判する告げ口外交を重ね、中国と連携して反日プロパガンダを繰り返し、中国の抗日戦勝70周年記念パレードには西側先進国で唯一の首脳として朴槿恵大統領が出席しました。そして2015年には中韓FTAが締結されています。

当然ながら韓国企業も友好ムードと貿易協定を背景に、中国市場を狙ってこぞって中国へ進出していったわけです。ところがこの中韓接近によって、むしろ韓国での市場を中国企業に荒らされる結果となりました。韓国が誇るサムスンのスマートフォンにしても、安価な中国製品が出てきたことで、中国市場はおろか、韓国市場も中国製スマートフォンに席巻されることになったのです。

● 中国製に危機感を抱く韓国、韓国製品を圧倒し始めた中国製品

しかも、中国はコピー商品すらどんどん市場に流します。これに対して韓国側は激怒して、コピー商品の取締りを強化しましたが、もともと韓国も日本製品のコピーとパクリを繰り返してきたのですから、泥棒が泥棒を叱るようなものです。

いずれにせよ、韓国は中国傾斜によって、経済的にもますます窮地に陥ることとなってしまったわけです。そしてそのツケとして、若者の就職率の低下を招いています。今年7月には若者の失業率が10%を超え、アジア通貨危機時に次ぐ最高値を記録しています。あまりの惨状に、日本の大卒者の就職内定率の高さを羨望する新聞記事が出るほどです。

● 韓国 若者の失業率がアジア通貨危機時に次ぐ最高値を記録
● うらやましい…日本の大学生は就職内定率71%

こうした中国傾斜の政策が回りまわって韓国の国民経済を衰退させてきたのであり、それが現在の朴槿恵大統領への不満爆発につながっているのです。しかも、冒頭のニュースのように、韓国はその中国からも使い捨てされようとしています。しかしこれは、予測できたことでもあります。

中国と接近しすぎるとろくなことにはならないのです。台湾もそれで産業の空洞化を招いてしまいました。日本の民主党政権も、大訪中団を送り、尖閣沖での中国漁船による海上保安庁巡視船への体当たりを隠蔽しても、結局は中国で過去最悪の反日暴動が起きてしまいました。そしてそれが、現在の安倍政権を誕生させたわけです。

韓国も朴槿恵政権も、これからますます泥沼に落ち込んでいくことは避けられないでしょう。問題は、韓国には親北勢力が強く、朴槿恵大統領の後にはそうした北朝鮮寄りの政権が誕生する可能性があることです。アジアの問題児である韓国が、アジア情勢をさらに不安定化に導く可能性があることを、日本は注視する必要があります。

2016.11.25 http://www.mag2.com/