問題を抱える香港の政治に、新たな緊張が走ろうとしている。

 北京では、国会が共産党に必ず忠誠を尽くし、国会議員は大抵どんな法案もほとんど審議せずに承認するのが普通だ。そんな北京から見れば、先日の選挙で選ばれた香港立法会(議会)の議員が顔をそろえた10月12日の就任宣誓式は、どきりとするものだったに違いない。
 香港の政治では、不満や苛立ちが北京よりもはるかに多く表明される。それを踏まえた上でも、宣誓式のシーンは衝撃的だった。

 2人の議員が「香港は中国ではない」と書かれた旗を身にまとって現れたのだ(その一方は、香港は中国の一部だと明言する内容の宣誓を読み上げる際に、右手の人さし指と中指をクロスさせていた*1)。

 彼らは中国に言及する際、大日本帝国時代の日本人が用いた侮蔑的な発音(シナ)を用いた。

 宣誓式は混乱し、この2人を含む計3人が「議員になる要件を満たさない」と宣告された。香港の立法府と北京の中央政府の間には新たな障害物が積み重なり、香港の政治的緊張は今後強まることになるだろう。

 北京の政府当局は、こうした行動が取られる可能性があることを承知していた。9月4日に行われた立法会選挙では、定数70議席のうち6議席を新勢力の「本土派」が占めた。香港と中国がどんな関係を結ぶかを香港人が決められるようにすべきだ、というのが彼らの主張だ(1997年に英国が香港を中国に返還したとき、香港にはその件について発言する権利がなかった)。

 宣誓式で広げられた旗が示唆したように、本土派の中には中国からの独立に好意的な議員もいる。数人の新人議員は、宣誓の文言に手を加えたり、ほかの方法を使ったりして、その考えを宣誓式で示すとあらかじめ公言していた。

 宣誓式の前夜、こうした問題に関して共産党政府の方針を遵守している香港特別行政区政府は、法律に則った方法または形式で宣誓しなければ議員失格にするという異例の警告を発した。さらに、立法会が議事を「遅滞なく始められる」よう、宣誓式では「秩序ある」行動を取るよう求めた。

*1:この仕草には、うそが許されますようにと祈る意味がある。

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2016.10.21 JB