天安門事件から27年目を迎えた6月上旬、世界各地のウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長ら幹部が来日し、東京都内の参院議員会館で、中国政府によるウイグル人弾圧の過酷な実態を報告した。その内容は、平和な日本に住んでいるわれわれにとって信じがたいものだったが、昨今の中国軍艦による領海侵入や南シナ海への強引な進出などを例にあげるまでもなく、中国政府は平和や人権といった人類の普遍的価値を平気で踏みにじってきた。当局の強力な報道統制のもと、われわれがウイグル人の置かれた現状に触れる機会は少ない。今後、もっと彼らに関心を持つべきだと思わずにはいられなかった。

 「私はウイグル人がいかに殺戮されているか、いかにウイグル人を救うことができるかを訴えている」

 民族衣装に身を包み、演壇に立ったカーディル議長は、通訳を介して話し始めた。その口調は穏やかだったが、語られる内容は苛烈なものだった。

 「(中国新疆ウイグル自治区の主要都市である)ウルムチには少年政治犯収容所があり、学校でトラブルを起こしたり、親が処刑されたりといった何らかの政治的な理由で、8歳から16歳の子供たちが収容されている」

 「5月、その収容所に中国の特殊部隊が突入し、ウイグルのジャーナリストによれば多くの子供たちが犠牲になった」

 ほかにも、2014年には自治区西部のヤルカンドでデモが起き、人民解放軍が約2000人を虐殺。同様の事件は小説『西遊記』にも登場する火焔山(かえんざん)で知られるトルファンでも発生し、約400人が犠牲になったという。

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産経 2016.7.1