亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長が2日、都内の参院議員会館で講演し、ウイグル人が置かれた悲惨な現状や中国政府による凄惨な弾圧を明らかにして、国際社会に支援を訴えた。

 カーディル氏は、中国政府による新疆ウイグル自治区の統治について「(当初)ウイグルにいる中国系の人口は2%でしかなかった。それが今では100万人単位で移住させ、『共生』というよりも民族が対立するようにあおっている」と批判した。

 さらに中国政府は、昨年秋のパリ同時多発テロなどの国際テロと関連付けてイスラム教徒であるウイグル人への弾圧を強めているとし、「私たちの宗教や文化、習慣が禁止されている」と述べた。同会議によると、中国政府は既にウイグル語の教育を禁止している。

 また、弾圧のひどさについてカーディル氏は「火炎放射器で殺害するなどすさまじく、ウイグル人は土地や家を売って難民となっている」と強調。「ちょっとしたトラブルや中国人とにらみ合いなどをしたら、その場で射殺する権限が現場の警察官に与えられている」とも指摘した。

 その上で、中国国外へ逃れたウイグル人の亡命先の一つであるタイでは、刑務所に収監されて中国への強制送還におびえているウイグル人の例も紹介し、「日本政府はタイ政府に働きかけてほしい」と支援を訴えた。

2016.6.3 産経
http://www.sankei.com/world/news/160602/wor1606020031-n1.html