オバマ米大統領が27日、被爆地の広島を訪れ、17分にわたる演説で核廃絶を訴えた。オバマ大統領の広島訪問は中国でも多くの国民が注視したが、中国ではこの訪問がどのように伝えられたのだろうか。

 中国のメディアが一貫して注目していたのは、原爆投下に対するオバマ大統領の「謝罪の有無」だった。

 中国では日本以上に「謝罪の有無」に拘泥した。もし仮にオバマ大統領が謝罪をすれば、中国も日中戦争時の暴力行為に対し、繰り返し日本に「謝罪」を求めることができるからだろう。
 だが、一方で戦勝国のアメリカが敗戦国の日本に頭を下げれば、日本の「被害国」としての印象を際立たせ、「加害国」としての立場を弱めてしまいかねない。

 訪問を前にオバマ大統領は日本のメディアに「(メッセージに謝罪は)含まない」としたが、これも中国にとっては分が悪い。アメリカが謝罪をしないという態度は、「日本は中国に謝罪しなくてもよくなった」という暗黙の了解を与えることにもなりかねないからだ。

 謝罪してもしなくても、中国にとってその展開は好ましからざるものとなる、アメリカの大統領の広島訪問はそんな複雑さを秘めたものとなった。

 だが、日本の被爆者たちにとっては、謝罪があろうがなかろうが、平和を願う気持ちに揺らぎはなかった。

 周知のように、演説では原爆の投下についての謝罪はなかった。だが、広島の多くの被爆者たちは「謝罪の有無」を乗り越えて、「核廃絶をめざす勇気」と述べたオバマ大統領に共感を示した。朝日新聞によれば、日本原水爆被害者団体協議会の事務局長を務める田中熙巳さんも、広島を訪ねるオバマ米大統領に送った要望書に謝罪要求を入れなかったという。

 日本のメディアもオバマ大統領の演説に対して「謝罪の有無」よりも「核廃絶への決意」を重点に置いて報道した。

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2016年 05月 17日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/london-mayor-idJPKCN0Y804A?pageNumber=3