中国は火曜、ブラマプトラ川に建設されたチベットでは最大規模で費用15億米ドルのザンム水力発電所を稼働した。これを受けてインドでは水資源への影響が懸念されている。

この発電所の6基すべてを火曜に稼働したことを、中国中部の湖北省の首都武漢市に本社を置く中国ゲゾウバ公社が国営新華社通信に伝えた。
チベット自治区の山南地区ギャツァ県に建設されたザンム水力発電所は、ブラマプトラ川の豊かな水資源を利用するものである。この河川はチベットではヤルンツァンポ川と呼ばれ、チベットからインドへ、さらにバングラデシュへと流れる。

今回稼働したダムは世界最標高の水力発電所であり、同種の発電所の年間発電量は最大規模の25億キロワットである。

「中央チベットの電力不足を軽減し、地域の発展にも役立つ。また中央チベットの重要なエネルギー供給源でもある」と運営会社は語る。また、夏季の電力不足の時期には近隣の青海省にも電力を供給するものであると国営新華社通信が伝えている。

チベット自治区の首都ラサから約140キロに位置するこの水力発電所への投資金額は96億元(15億米ドル)である。すでに第1基目のダムが昨年11月に稼働している。

過去の報告によると、中国はザンムの他にも複数のダムを建設中である。中国は、これらのダムは川の流れをそのまま利用するものであり、貯水式ではないとしてインドの懸念払拭を試みている。

これらのダム建設でインドが恐れているのは、中国との紛争時に中国がダムを放水してインドに洪水を発生させる可能性があるというリスクである。インドでは2013年にブラマプトラ川に関する関係省間専門家グループが、ダムは上流に建設中であり、下流への影響をより詳しく検討する必要があると報告していた。ジエフ、ザンム、ギャツァの3つのダムは相互の距離が25キロ以内、インドとの国境から550キロという位置関係である。

インドは中国との間で過去数年にわたる話し合いで合意に達していた問題を再提起した。二国間で2008年、2010年に合意された河川に関する合意書では6月から10月までのブラマプトラ川の洪水データを中国が提供することで合意していたが、2013年には中国側は5月から10月までの洪水データを提供することに同意した。(2015年10月13日 タイムズ・オブ・インディア、北京)

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
http://www.tibethouse.jp/news_release/2015/151020_Biggest_Dam_151013.html