米中両政府が9月末の首脳会談を前に、ある男性の身柄をめぐって水面下で駆け引きを繰り広げていた。中国共産党を揺るがしかねない機密の流出を恐れ、中国は「協力」を求めたが、米国は拒否。この男性からもたらされた情報の分析を始めているとみられる。
令氏弟の身柄めぐり攻防 引き渡し求める中国、米は懸念

 米中の正式な首脳会談が開かれた前日の9月24日夜。ホワイトハウスに隣接する迎賓館ブレアハウスの一室で、オバマ大統領と習近平(シーチンピン)国家主席が向き合っていた。

 この非公式の夕食会で、習氏側が求めたことの一つが、米国に滞在する中国の汚職官僚の身柄の引き渡しだった。「反腐敗」を掲げて幹部を次々と摘発する習指導部は、海外に逃れた腐敗官僚や企業家も「猟狐(キツネ狩り)」と称して身柄を追っている。

 「中国は国際社会とともに腐敗逃亡者を追い求めている。米国の支持と協力を望む。腐敗分子を海外の『逃亡天国』に居続けさせるわけにはいかない」

 夕食会の2日前、習氏はシアトルの歓迎式典で、こう語っていた。

2015年10月25日 朝日
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