中国政府によって抑圧的な扱いを受けている少数民族、ウイグル族の人たちのうちタイで不法入国の疑いで拘束され、保護を求めていたおよそ100人についてタイ政府は、中国に強制送還したことを明らかにし、亡命したウイグル人の間で反発が広がっています。

中国の新疆ウイグル自治区ではここ数年、イスラム教を信仰するウイグル族の人たちが中国政府による民族政策などによって抑圧的な扱いを受けています。このため中国を脱出し、東南アジアを経由して民族的に近いトルコなどに逃れる動きが広がっています。
こうしたなかタイ政府の報道官は9日、タイで去年3月に不法入国の疑いで拘束され、保護を求めていた300人以上のウイグル族の人たちのうち女性や子どもを含むおよそ100人をバンコクの軍用空港から中国に強制送還したことを明らかにしました。

このウイグル族の人たちを巡っては、中国が強制送還を求めていましたが、国際的な人権団体は中国当局の弾圧から逃れようとした政治難民で、送還されれば、さらに迫害を受けるおそれがあると訴え、先週172人が受け入れを表明したトルコに向けて出国していました。

今回の強制送還についてタイ政府の報道官は「中国国籍と認められたためだ」としています。
これに対し亡命したウイグル人が多く暮らすトルコのイスタンブールでは、タイ政府や中国政府に抗議するデモが起きるなど、ウイグル人の間で反発が広がっています。


中国外務省「不法移民取り締まりは国際社会の合意」

中国外務省の華春瑩報道官は9日の記者会見で「不法移民は国家間の出入国の秩序を乱し、国際社会の利益を侵害しており、不法移民を取り締まることには国際社会共通の合意がある」と述べて、強制送還は当然の措置だという認識を示しました。その上で華報道官は「中国人が不法に国境を越えれば、関係する国や部門との協力を強化し、国家間の人の往来の秩序を守っていく」と述べて、あくまで不法移民の問題として処理する姿勢を強調しました。


トルコではタイの名誉総領事館襲撃

今回の強制送還を受けて、亡命したウイグル人が多く暮らすトルコのイスタンブールでは8日夜、200人以上のウイグル人のデモ隊が暴徒化してタイの名誉総領事館を襲撃しました。デモ隊は石や棒で窓ガラスをたたき割って建物に押し入り、棚の中の資料などを床に放り出して、家具を破壊しました。地元の通信によりますと、トルコの治安当局はデモ隊の9人を逮捕しました。

2015年7月9日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010145001000.html