中国で再び英語学習に関する議論が高まっている。

 中国教育学会の顧明遠会長は先週末、浙江省杭州市で開かれた教育フォーラムで、2017年に実施される新改革プランでは「高考」と呼ばれる全国大学入学試験から英語が除外される運びだと発言した。地元紙が報じたこのコメントが、英語学習に対する議論に火をつけた。
 報道によると、顧会長は英語の試験を国以外の機関に委託し、大学はこの結果を学生受け入れの際の参考にする計画。現在、中国では全生徒が小学校から英語を学び、大学入試の重要科目になっている。

 顧会長からすぐにはコメントを得られなかった。中国教育学会の広報官はChina Real Timeに対し、北京師範大学の教授でもある顧氏が現在は会長職を退き、名誉会長を務めているとしたたうえで、顧氏が地元メディアに取り上げられたことはないと述べた。

 本当に中国の生徒は英語学習に嫌気が差し、言語能力を試されるのに飽き飽きしているのだろうか。

 中国のミニブログサイト「微博」の調査では、19日午後までに回答した8万9000人のうち約55%が、大学入試から英語を削除するという考えを支持した。

 ユーザーの一人は書き込みの中で「削除を支持するのは英語そのものが原因ではなく、入試が英語を"文法の公式"にしているからだ。それは過去のものだ」と指摘。

 別のユーザーは「私たちが中国人であることを忘れてはならない。外国語を学ぶ目的は世界をよく知るためだが、生活で最も重要なスキルは母国語をマスターすることだ」と書き込んだ。

 中国教育報が昨年12月に政府ウェブサイト上に公表した大学入試改革の草案では、2020年までに「高考」に代わって社会機関が実施する英語試験が採用され、生徒は英語試験を受ける時期を選択することが可能になる。

 昨年はじめ、北京理工大学を含む複数の一流大学が、エンジニアリングなど一部学科の個別入試から英語を除外。また、北京市の教育当局は公立大学入試など重要な試験での英語の比重を低下させるよう提言した。

 もっとも、英語教育や試験を減らすことが良いことと誰もが思っているわけではない。

 民間シンクタンクBeijing Anbound InformationのHe Jun研究員は、国の試験から英語を外せば教育資源へのアクセスという点で不平等が拡大し、英語学習者はより費用のかかる民間の語学学校に向かう必要性が生じると指摘している。

 He氏は顧客やメディア向けリポートで、「これはすでにある教育の不平等を拡大させるもので、中国の言語や文化を強化することにつながらない」と述べた。

ウォールストリートジャーナル 2014 年 5 月 20 日
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303923004579573051347863532