中国で15日に始まった2015年の公務員採用で、21日には16万104人が書類審査を通過した。書類審査通過者は累計で59万7420人になった。中国は地方政府勤務の公務員も「国家公務員」と位置づけている。職位別に募集を行っているが、中央政府の物資調達部門では募集率が1470.5倍に達した例がある一方、チベット自治区などでは「応募者ゼロ」の職位も多い。中国新聞社が報じた。
 中国の公務員採用は、職位ごとに必要と判断する人数を募集する。そのため、応募者が殺到する職位と不人気な職位に大きな差が出る。中央政府に属する国家機関事務管理局の中央国家機関政府調達センター第3課では、書類審査を通過した上での倍率が1470.5倍に達した。

 現在のところ、募集した職位の96%にある1万2967の職位に応募者があったという。

 中国では、地方政府勤務の公務員も「国家公務員」との位置づけだ。しかし、地方勤務の場合には「不人気」な職位も多い。特にチベット自治区国税局と河北省気象局では、募集した職位のうち30以上が「だれも応募してこない」状態という。

 北京市内での勤務の場合、書類審査を通過した人は10万1493人で、応募者のいない職位は14と、比較的少ない。平均競争率は44.38倍で、応募が多かったのは国家知識財産権局、国家工商行政管理総局、北京市国家税務局などという。

 公務員採用の応募は24日午後6時をもって締め切られる。

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◆解説◆
 中国人は所属する組織に対する「忠誠心」が日本人ほどにはなく、会社などでも職員の定着率が低いとされる。ただし最重視するのは現在の待遇ではなく、指導者の力量や組織の将来性に対する判断とされる。

 中国人は独立心が強いが、一方では「トップダウン」の感覚が強いので、指導者に従うのは当然だが、逆に「この組織にいて、よいことがあるのか。この指導者に従っていて大丈夫なのか」と組織や指導者を「評価」し、「不合格」とみなせばすぐに転職を考えるという。

 一方で、中国では政府機関への就職を希望する若者が極めて多い。伝統的な「官は民より貴い」という気風や、「官の1員になれば、間違いはない」との考えが強いためとされる。起業精神を削いでいるとして、政府機関への就職希望が強すぎることを懸念する意見も、繰り返し発表されている。

 つまり、中国人の組織に対する感覚として、「判断する主体は自分」という独立心と、「自分の判断により納得すれば、上には絶対的に頼り従う」という二面性が併存していると言える。

サーチナ 2014-10-23
http://news.searchina.net/id/1546780?page=1