南シナ海での中国の石油掘削に抗議してベトナムで起きた「反中暴動」について、習近平シージンピン政権は、ベトナムの「反中史観」を原因に挙げて非難する宣伝を行っている。

 中国で繰り返される「反日暴動」の背景には共産党政権の「反日教育」があるとされているだけに、北京の知識人の間には「ベトナムを批判する資格はないのでは」との声もある。
 中国誌「国家人文歴史」が最近、掲載した記事によると、ハノイの歴史博物館では紀元前から近代まで、ほぼすべての展示で、「中国の侵略者」に対するベトナムの人々の英雄的活躍が称賛されているという。

 同誌などによると、ベトナムの歴史観では、秦の始皇帝のベトナム支配が「侵略の開始」とされる。後漢時代に反乱を起こしたベトナムの指導者は今も民族の英雄として扱われている。1974年、88年にそれぞれパラセル(西沙)、スプラトリー(南沙)諸島を中国に武力で奪われたことを強調。パラセルでの戦闘後、ベトナム政府系の出版社が発行した歴史書には「ベトナム史は中国の侵略史だ」と記されているという。

 中国の国際問題専門紙「環球時報」は「独立戦争やベトナム戦争で中国から受けた援助を覆い隠している。歴史の事実を偏らせ、中国を敵視する教育が今回の極端な民族主義の爆発を招いた」と批判する研究者の論文を載せた。中国共産党関係者は「ベトナム政府が反中教育で求心力を高めている」と分析している。

2014年06月22日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140622-OYT1T50029.html