インド・ダラムサラ — チベット子供村の講堂前にロブサン・ギャツォ・シタルが座っている。彼の発表するパワーポイントの光が、生徒の列前方を微かに照らしている。「知らない添付ファイルは絶対に開かないこと」と生徒に諭すシタル氏。頷く生徒。電飾のキャンドルで縁取られたダライラマ法王の写真が飾られた舞台。どこからか迷い込んだ犬が群衆の後ろを歩く。「誰にもパスワードを見せないこと」とシタル氏は続ける。スライドには見覚えのないUSBを使う危険性を示すページが映し出させる。「中国政府や他人が皆さんのコンピュータをコントロールしているんです」
ダラムサラ、人口20,000人のこの土地は、世界で最もハックされている場所である。インドのヒマラヤの麓に位置するこの小さな街は、亡命チベット人の精神的リーダーであるダライラマ法王の住まいがあり、亡命政権の中心部、CTA(正式にはCentral Tibetan Administration:中央チベット亡命政権)があり、中国政府がテロリストと見なすチベットメディアや非政府団体がある。1959年のラサ蜂起による中国共産党の武力行使後、ダライラマ法王は現在の西中国チベット自治区都ラサからこの地に亡命した。インドはダライラマ法王を宗教融合のアイコンとし、何千もの亡命者を受け入れた。2009年の調べでは、およそ130,000人のチベット人が亡命生活を送っている。 中でもダラムサラは政治の中心地である。

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ダライ・ラマ法王日本代表部事務所