北京市中心部の天安門前で、死傷者多数を出した車両突入事件に関し、同市公安当局は三十日、この事件を「テロ行為」と断定し、車に乗って死亡した三人をウイグル人家族と特定するとともに、容疑者五人を拘束したと発表した。国営新華社通信などが伝えた。拘束された五人はいずれもウイグル族とみられる。
 五人は事件発生から十時間ほどで拘束されていた。十一月九日から始まる中国共産党の重要会議、第十八期党中央委員会第三回全体会議(三中全会)を前に、安定を強調するため事件の解決を急いだとみられる。
 新華社電や北京市公安局の発表によると、二十八日正午ごろ、ウイグル族の男とその母親、妻が乗った新疆ウイグル自治区ナンバーの車は天安門前の歩道に進入。高速で観光客らをはね、二人を死亡させ、四十人を負傷させた。車を橋の欄干に衝突させ、ガソリンに火を付けて炎上させ、三人は車内で死亡した。ネット上に掲載されている「手配書」によると、母親は七十歳、妻は三十歳とみられる。

 車内からはガソリンのほか刃物二本、鉄棒や「極端な宗教的な内容」を示す旗が発見された。公安当局は「(事件は)入念に計画され組織的だった」と主張している。拘束された五人のアジトからも「聖戦」の旗や長刀が見つかった。五人は「(事件から)わずか十時間余りで捕まるとは思わなかった」と供述しているという。

 一方、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部ドイツ)は三十日、「中国当局が事件を口実として、イスラム教徒のウイグル人に対する鎮圧行為を激化させるのを懸念している」との声明を出した。

東京新聞 2013年10月31日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013103102000111.html