中国共産党元政治局員、薄煕来被告に無期懲役が言い渡された法廷で、身長186センチの薄被告の両脇を固めたのは、さらに長身のいずれも2メートル近い法廷警察官らだった。「薄被告が小さく見えるように、山東省内の警察官の中から2人の元バスケットボール選手を選んだ」(司法関係者)とされ、今回の裁判が政治ショーであることを改めて印象づけた。
 8月22日から5日間にわたって行われた公判でも、起訴された罪状とほとんど関係のない薄被告と妻のそれぞれの不倫問題も公にされ、当局の狙いがどこにあるのかをうかがわせた。

 しかし、習近平政権は期待通りの効果を得られなかったといえる。透明性を高めるため、インターネットを通じて裁判の模様を公開したことが裏目に出た。

 検察側に次々と反論する薄被告の発言がネットを通じて流れ、支持者たちを鼓舞した側面があったことは否定できない。済南市中心部の公園で判決後、「私たち人民の薄書記を返せ!」と目を真っ赤にして叫ぶ支持者の姿もみられた。

 その一方で、薄被告が重慶で推進した毛沢東路線により知識人や資産家が多数拘束され、拷問を受けたといった人権侵害問題については、今回の裁判で全く追及されなかった。

習近平国家主席が実は、薄被告と思想的に近いことが関係している。習政権は現在、思想、言論統制を強化しているが、これは、薄被告が重慶でやったことと同種のものだからだ。

 北京の共産党幹部も「今回の裁判は、薄被告個人を政治的に葬り去ることが目的であり、その政治路線を否定するものではない」と説明している。

 この日、薄被告は微笑を浮かべながら無期懲役の判決を聞いた。当然、ネットなどを通じて公開されることが念頭にあったはずだ。

 今後、薄被告は「悲劇の英雄」として、保守派と貧困層の間で影響力が拡大する可能性もある。無期懲役という重刑が下されたことで、薄被告支持者の間で、習政権への不満も高まるだろう。

 ある共産党幹部は、「ノーベル賞を受賞した民主活動家の劉暁波という改革派の英雄がすでに刑務所にいる。左右両派の時限爆弾2つを同時に抱えることになった習政権は、内外の批判にさらされ、今後、立場がますます苦しくなるだろう」と解説している。

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2013.9.23 産経