ヘーゲル米国防長官は十九日、ワシントン近郊の国防総省で中国の常万全国防相と初めて会談した。
 常氏は会談後の共同記者会見で、オバマ政権が掲げる米軍のアジア重視戦略について「特定の国を標的にしないよう望む」とけん制した。
 ヘーゲル氏は南シナ海の領有権問題や沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立について「力の行使を伴わない平和的な解決」を重ねて求めた。
 これに対し、常氏は対話解決には同意しながらも「中国が核心的利益を簡単に手放すと夢想すべきではない。領土と主権、海洋権益を守る決意を過小評価してはならない」と強調した。
 米官庁や企業を狙った中国発のサイバー攻撃に関しては、ヘーゲル氏が米中作業部会の協議を「歓迎する」と表明。常氏は「中国も被害者だ。中国軍はいかなるハッキングも支援していない」と従来の主張を繰り返し、平行線だった。
 両氏は、高官相互訪問や軍事交流の強化による信頼関係の構築で一致した。ヘーゲル氏は常氏の招請を受け、来年訪中する意向を表明。来年にハワイ沖で米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に中国が参加することも確認した。

東京新聞 2013年8月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013082002000225.html