中国の2012年版「国防白書」は書名が『中国の武装力の多様な運用』となり、内容も絞られて「武装力の運用」が中心テーマだった。これまでの国防白書は中国軍事に関して制度、政策、国防費など包括的な構成。特集的なテーマは年次ごとに「武装警察部隊」「軍事法制」など新項目をたてていた。

 また国防白書の主語が、従来の「軍事力」から武装警察部隊など後備戦力を含む「武装力」とされている。

 さらに「多様な運用」の基となる武装力の任務について、国境警備、海上防衛、防空安全と国家の領域と主権の防衛を挙げている。さらに「中国の経済社会の発展の保障、国家建設、災害救援、社会の安全、海洋権益、宇宙、サイバー空間の安全」を国家防衛と同列に扱っており、注目される。

 その背景として「アジア太平洋地域が世界の経済発展と大国の戦略ゲームの主要舞台となり」「中国は多元的で複雑な脅威と挑戦を受けており、生存と発展のための安保に迫られ、伝統・非伝統的な脅威が絡み合う中で国家統一、領土保全、発展の任務は重い」としている。

 ここで「社会の安全」と「海洋権益」が防衛任務とされているが、国内不安や海洋での関係国との軋轢(あつれき)の拡大などから武装力の運用対象と確認されたもので、習近平政権が今後、どう具体化するかが注目される。

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産経 2013.6.23