英国下院の情報安全保障委員会は6日、英国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が十分な安全保障上のチェックを受けずに英国市場で主要なプレーヤーになることを容認しており、この結果、サイバー攻撃や国が主体となったスパイ行為に英国が脆弱な状態になっていると指摘した。

 華為技術が欧州でこういったマイナスの指摘を受けるのは2度目。同社は、米国やその他の国々で政治的な障害に直面しているだけに、欧州市場の重要度が増していた。
 欧州連合(EU)は今年5月、不公正な貿易慣行があったとの疑いで、華為技術を調査する計画だと発表した。

 英下院の情報安全保障委員会は、政府が華為技術の行動の監視を怠ったことに「ショックを受けた」とし、政府の監視とサイバー攻撃対応に関する戦略が「良く言っても貧弱」だと主張した。

 同委員会は、2010年に華為技術の行動監視のために英国に設けられたシステムが、同社から出資を受け、同社自身で運営されていると指摘し、変更されるべきだと訴えた。同委の報告は「自己監視という契約では、必要とされるレベルの安全保障上の安心が得られる公算はほとんどない」と述べた。

 同委員会は、英国の安全保障機関、秘密情報機関、それに政府通信本部の監視を担当している。

 同委員会は、華為技術に関する最大の懸念は、同社が中国政府と関係しているとみられる点だと指摘した。同社は売り上げベースでスウェーデンのエリクソンに次ぐ世界第2位の通信機器メーカー。

 同委報告は中国について、英国を舞台とした国主体のサイバー攻撃の主要な犯人である疑いがあると指摘した。報告は詳細を明らかにしていないが、同委員会の10—11年の年次報告は、企業のみならず政府も攻撃の対象だったとしている。


A U.K. parliamentary committee says the country has left itself vulnerable to cyberattacks and state-sponsored spying, as President Obama prepares to meet with Chinese President Xi Jinping Friday. Danny Yadron reports. Photo: Getty Images.

 報告は「こういった状況では、華為に中国政府との関連があるとされる点は懸念事項であり、華為の意図が商業的なものに限定されるのか、それともより政治的なのかという疑いを生じさせる」と述べた。

 米国では、同じような懸念から、華為は事実上、主要通信事業者への通信機器販売ができなくなっている。米議会の情報委員会の報告は、華為のプレゼンス(存在)が国家安全保障上の脅威を生じさせると結論付けた。

 オーストラリア政府は昨年、華為が同国の高速ブロードバンド網の敷設に参加するのを禁じた。

 華為技術は1987年に人民解放軍の元幹部である任正非氏によって創設された。同社は自らが民間企業で社員持ち株企業だとし、中国の政府や軍との直接の関連を否定している。140カ国で事業展開し、15万人以上の従業員を抱えている。

 しかし、英下院委員会の報告は、「同社の財務構造は透明性に欠けている」と指摘した。

 報告は「華為が中国政府との関連を否定することは驚きだ。中国ではこういった政府との関連は普通のことだと考えられている」としている。

 報告は、華為技術が2005年、最初に英国に進出した際、安全保障上の問題を審議する英側の手続きが「不十分」だったことが判明したとし、とりわけ英政府当局者が当時、安全保障上のリスクを貿易産業相に通知しない決定を下していたことにショックを受けたと述べている。

ウォールストリートジャーナル 2013年 6月 07日
http://jp.wsj.com/article/SB1000142412