【北京・工藤哲】25日付の中国各紙によると、全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は24日、インターネット利用者の個人情報の管理を強化する法案を審議した。担当者はネット利用者の情報漏えいや悪質サイトからの被害を防ぐためと目的を説明しているが、ネット利用者の間では「言論の自由を制限するもの」といった懸念の声が出ている。

 具体的な条文は検討段階だが、男が身分を偽って恋愛サイトを通じて金をだまし取ったり、企業の個人情報のデータが不正に盗まれたりする事件が近年続発したため、法案で「国家が利用者の個人情報やプライバシーの電子情報を管理する」とした。契約などで個人情報を入力する際は、真実の情報を登録することを義務づける。サイトの運営者にも規定を守り、当局に協力するよう求めた。清華大学の専門家は「発信者が自己責任を持つ効果があり、ネット管理と言論の自由は矛盾しない」などと中国メディアに語っている。

 これに対し、ネット上では「情報の自由な流れを阻むものだ」「ネット利用者は党幹部の多くの腐敗の証拠を持っているのに、暴露すれば(情報発信者が特定されて)処分されてしまう」などといった懸念の声が大部分を占めている。

 習近平(しゅう・きんぺい)指導部が先月に発足した直後、共産党幹部の不祥事がネットなどで次々に明らかになり、管理強化に転じたとの見方もある。

毎日新聞 2012年12月25日
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