このたびの中国共産党指導部交代劇ほど、適切な一族の出身であることの重要性がはっきりと示されたことはない。最高指導部の新政治局常務委員7人のうち、習近平新総書記ら4人が、党高級幹部の子女を指すいわゆる「太子党」に属しているのだ。



はびこる汚職や所得格差拡大、環境悪化などの問題を受け、共産党への信頼感は揺らいでいる。これまでにないほどの圧力にさらされるなかで、アナリストや党関係者は「太子党」の台頭は意外ではないと話す。

共産党の究極の目的は国家支配を維持すること。「太子党」を最高指導部に多数登用することは、いわば、保険をかけるようなものという。

北京の政治コメンテーター、チャン・リーファン氏は「太子党は、基本的に、一党支配に賛同している。これは彼らの根幹だ」と指摘した。

「太子党」が新政治局常務委入りを果たしたのは、長老・江沢民元総書記の暗躍があったとされる。江沢民氏は長らく習近平新総書記をバックアップし、ある1人の「太子党」の最高指導部入りを助けたという。

前の世代の政治局常務委員会は、主にテクノクラート(技術官僚)やビューロクラート(事務官僚)で構成されていた。今回新たに発足した政治局常務委員会は、党の史上はじめて「太子党」が過半数を占めた。

1950年代に政治局常務委員に選出された故・陳雲氏は「天下は高級幹部の子女に引き継ぐべき。彼らは党の墓を掘り返すことはない」と述べたというが、現在の共産党メンバーもこの言葉に共鳴したようだ。

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ロイター 2012年 11月 26日