中国では、15日、第1回の中央委員会総会が開かれ、今後5年間、中国を率いる新しい最高指導部、政治局常務委員会のメンバーに習近平国家副主席らが選出されました。
中国の新しい最高指導部について、各国の思惑や反応をまとめました。


米政府 外交姿勢に注目
習近平氏が共産党の総書記に選出された中国について、アメリカ政府は、沖縄県の尖閣諸島を巡る日本との対立など周辺国との問題で緊張が高まらないよう警戒を強めながら、新たな政権がどのような外交姿勢を取るのか注意深く見守っていくものとみられます。

オバマ政権は、4年前の就任当初よりも中国への警戒を強めており、去年、アジア太平洋地域を重視する外交方針を打ち出し、海兵隊の部隊をオーストラリアやフィリピンにローテーションで派遣することで中国へのけん制を強めようとしています。

そのオバマ政権が懸念しているのは、沖縄県の尖閣諸島を巡る日本との対立と、南シナ海の領有権を巡る東南アジア諸国との対立で、再選を果たしたオバマ大統領は早速、今週末から東南アジアの3か国を訪問し、中国に対してこうした問題について対話による平和的な解決を求めるものとみられます。

また、沖縄県の尖閣諸島を巡る問題については、今年9月に中国を訪問したパネッタ国防長官が、習近平氏との会談で直接、日米安保条約の適用範囲内だと伝えるなど強い姿勢を見せながらも、どちらの領土かについては中立の立場を取り、現状を変えることを受け入れないという考えを明確にしています。

オバマ大統領は先の大統領選挙の中でも貿易不均衡の問題などで、中国に対し強い態度で臨むことを強調していて、より厳しい姿勢に転じた1期目の外交政策を今後も継続するとみられます。

その一方で、オバマ政権はますます結びつきを強める両国の経済関係への影響は避けたい考えで、まずは習近平氏の新たな体制がどのような外交姿勢を示すのか注意深く見守りながら、周辺国との緊張を高めないよう、粘り強く理解を促していくものとみられます。


韓国“これまでの関係発展を”

韓国の外交通商省の報道官は、15日の記者会見で「習近平総書記を筆頭とする新しい指導部が発足したことを歓迎する」としたうえで「これまでと同様、新指導部の下でも韓国との関係が発展していくことを期待する」と述べました。

韓国にとって最大の貿易相手国である中国の新指導部の発足は、韓国メディアも大きく報道し、このうち韓国の通信社、連合ニュースは、最高指導部の政治局常務委員7人全員が韓国を訪問したことがあると紹介し「韓国との関係強化が期待できる」と伝えています。

さらに、7人のうち、張徳江氏について「北朝鮮のキム・イルソン総合大学への留学経験があり、韓国語も使うことができる」と紹介したうえで、北朝鮮の人脈も豊富だと伝えています。


台湾“関係はこの60年で最も安定”

中国共産党のトップの新しい総書記に習近平氏が選出されたことを受けて、台湾の馬英九総統は、国民党主席の肩書きで習氏に祝電を送りました。

このなかで馬英九氏は「台湾海峡両岸は、お互いの党が一つの中国という考え方を基礎に共に努力し、関係はこの60年で最も平和で安定している。両党の良好な関係のもとで引き続き交流を拡大し、さらなる成果が得られることを期待する」と述べ、今後も関係を強化したい考えを示しました。
これに対し習近平氏もただちに返事を送り「両党が歴史的なチャンスをとらえ、お互いの信頼を深めることで、両岸関係の平和発展を推し進めていきたい。共同で中華民族のよりよい未来を切り開いけることを望んでいる」と応じました。
台湾の国民党の主席が、中国共産党の総書記の選出の際に祝電を送るのは初めてだということです。

北朝鮮“中朝親善の強化を”
北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記は、中国で胡錦涛氏に代わる共産党のトップの総書記に選出された習近平国家副主席に対し、直ちに祝電を送りました。
北朝鮮の国営メディアによりますと、祝電は「社会主義の建設が新しい段階に入った時期に重責を担うことになったのは、人民の厚い信頼と期待の表れだ」としたうえで、「伝統的な中朝親善が、両国人民の願いどおり引き続き強化され、発展することを信じている」と強調しています。
北朝鮮にとって隣国・中国は、最大の支援国であるだけでなく、貿易や投資など経済的な結びつきが年々強まっています。
北朝鮮指導部は、中国との連携をテコに経済の立て直しを進めたい考えで、キム第1書記がいつ中国を訪問して、新しい最高指導部と会談するのかが注目されます。

フィリピン 領有権問題など関係改善に期待
南シナ海の島々の領有権を巡り中国と対立するフィリピンでは、習近平氏が共産党の総書記に選出され新体制が発足したことについて外務省が声明を発表し、「二国間の政治面での関係が改善し、経済協力や人と人の交流がさらに進展することを望む」として、中国との関係改善に期待する姿勢を示しました。

フィリピンはことし4月に南シナ海の浅瀬を巡って中国との緊張が高まったあと、中国向けバナナの輸出や中国からの観光客が激減して経済的な打撃を受けたことから関係修復をはかっており、今回の声明でも領有権問題には言及しないなどの配慮がうかがえます。


ロシア“積極的に連携”

ロシア政府は15日、メドベージェフ首相が、個人の立場とともに、政権与党「統一ロシア」の党首としての立場から祝電を送ったことを発表しました。

このなかでメドベージェフ首相は「統一ロシアと中国共産党との協力関係をさらに強化するため、積極的に連携していく用意がある」として、政党間の交流を通して広範にわたる政治や経済の問題に取り組んでいきたいとの考えを示しました。


豪外相“緊密な関係継続”

習近平氏が共産党の総書記に選出され新体制が発足したことについて、中国を最大の貿易相手国とするオーストラリアも高い関心を示しています。

オーストラリアでニュース専門チャンネルを持つテレビ局、オーストラリアABCは、習近平氏と新しい最高指導部のメンバーの7人が人民大会堂に現れ、あいさつする場面を生中継で放送しました。

またこのニュース番組に出演したオーストラリアのカー外相は、「習総書記は、オーストラリアとの関係の重要性をよく知っているし、オーストラリアにとっても中国が重要な国であることを知っている」と語り、習近平氏の新指導部体制になっても、両国の緊密な関係は継続されるとの認識を示しました。


EU上級代表 新体制に期待

中国で新たな最高指導部が発足したことについて、EU=ヨーロッパ連合のアシュトン上級代表の報道官は声明を発表し、「EUと中国は重要な戦略的関係にあり、新たな指導部と関係を深め、地球的な課題に協力して取り組むことを期待している」として、新体制に期待を表明しました。

そのうえで、「新たな指導部が、中国国内の政治・経済的な改革にどのように取り組むかを注視している」として、EUが問題視している人権などの分野で、国内の改革の行方を見極める姿勢を強調しました。

NHK 11月15日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121115/k10013525081000.html