ブータンと日本の子どもの絵を集めた絵画展「日本・ブータン国際児童画交流展」が30日から、名古屋市内で開かれる。

 東日本大震災の被災者を励ましたブータン国王夫妻の来日をきっかけに、心の豊かさで国民の幸福度(GNH)を測るブータンの国造りに共鳴した小牧市の絵画愛好グループ「国際児童画協会」が計画した。
 協会は東海3県を中心に会員約80人。「子どもの絵は、その国の心の豊かさを表すバロメーター」として、結成20年で145回の児童画展を国内外で開いてきた。

 ブータンを知るきっかけとなったのは昨秋、新婚旅行を兼ねたワンチュク国王夫妻の来日。大震災に原発事故が重なった福島県にまで足を伸ばし、被災者を励ます姿に共感。日本で「家族愛」をテーマとした児童画展を開くことを決め、今年5月、東京の総領事館を通じてブータンの子どもたちの絵55点を送ってもらった。

 また、8月末には、代表の画家西川直見さん(62)(愛知県小牧市)ら15人がタイ経由で7日間、ブータンを訪問。日本の子どもたちの絵100点とクレヨンや絵の具など50キロ分を持ち込み、絵画指導などで交流した。

 「子どもたちは絵を描くのに、絵の具を混ぜることさえ知らなかったが、目を輝かせて聞いてくれた。物質的な豊かさには恵まれなくても、真剣なまなざしが心に突き刺さった」と西川さんは振り返る。

 絵画展は、ブータンと日本の子どもたちの作品を合わせて計約100点を展示する予定。西川さんは「日本人がどこかに置き忘れてしまった心の豊かさを思い出すきっかけになれば」と話している。30日から11月4日まで、名古屋市中区栄1「アートスペース エーワン」で開かれる。

2012年10月23日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20121023-OYT8T00888.htm