中国の人口は13億人。世界最多である。そして金の消費量も、インドを抜き2012年末までに世界一になる可能性がでてきた。
金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のマネジングディレクター、マーカス・グラッブ氏は「2012年末までに、中国の金需要がインドを抜き、世界最大の金市場として台頭する可能性がある。ワールド・ゴールド・カウンシルは中国の今年の金需要は少なくとも850トンと見ている」と述べた。

これに対して、インドの金需要は約1,000トンから700トンに減少するとグラッブ氏は見ている。2008年に米大手証券会社のリーマン・ブラザーズが破綻して世界金融危機顕在化の引き金となり、その影響を大きく受けて2009年にインドでも金融危機が顕在化したことなどが響く。

世界的な金の需要は今年第2四半期、2年ぶりの低水準に落ちこんだ。ワールド・ゴールド・カウンシルによると、各国中央銀行による購入が増加したものの、インドからの需要低迷により相殺されたという。
今年第2四半期の世界的な金の需要は、前年同期比7%減、約76トン減少し、990トンとなった。これは2010年の第1四半期以来の低水準である。

インドと中国は第2四半期に全宝飾品、棒金、硬貨の需要合計の45%を占め、世界的な金の需要を左右してきた。グラッブ氏によると、「中国はインド以上に成長している。成長率は横ばいだが、インドよりも中国の需要は増え続けている」という。

今年第2四半期の中国の投資や宝飾品の需要は、前年同期比7%減、145トンに減少した。投資需要は51トンとなり、4%減少した。「今年上半期だけの数値を比較して見れば、中国は2011年の上半期に比べてかなり好調だ。中国が大きく後退するとは私たちは考えていない」とグラッブ氏は述べた。「実際に中国の需要は第1四半期に増加している。昨年は中国市場にとって記録的な年だったが、今年の中国の第1四半期の需要はそれとほぼ同じだ」という。

その一方でグラッブ氏は「全般的に見てインドの金の需要はかなり低迷している」と言う。第2四半期には、インドの金の総需要は前年同期比38%下落した。宝飾品需要が30%下落して125トンになり、硬貨や棒金の購買による投資は51%下落して56.5トンになった。


インドの金需要の低迷、3つの理由

インドで金需要が低迷している理由の1つは、政府がすべての宝石類に物品税を課すという計画をたてたが、宝石商がこれに抗議して第2四半期に全国的なストライキを行ったことだ。課税計画は撤廃されたが、その混乱が第2四半期市場に悪影響をあたえた。

2つめに問題になるのは、インドの継続的な経済問題が、投資家心理に重荷となっていることだ。インドは過去10年間の大半にわたって二桁に近い経済成長を記録してきたが、今年第1四半期の経済成長率はわずか5.3%にとどまった。

格付け会社ムーディーズの最近の分析によると、2013年3月期におけるインド経済の年間成長率は5.5%と予想される。これはここ10年で最も低い率になる。

3つめに問題なのが、6−9月のモンスーンシーズンがすでに半分ほど過ぎたが、その期間での降水量が、過去50年間の平均降水量の20%以下となり、インドのいくつかの地域は深刻な干ばつに直面している。これがインドの金需要に別の形で打撃となっている。インドの人口の60%以上を構成している農家は、金の熱心なバイヤーだからだ。

インドは何十年にもわたり世界最大の金市場だったが、弱いルピーとモンスーン被害によって引き起こされる減速経済成長が金に対するインドの需要に蓋をしている。

インドの経済成長の減速により、ルピーはドルに対して年間で最も弱い通貨の1つとなっている。ルピー安により、インド消費者にとって金の国内価格は高騰した。

インドでの金の価格は、ここ1年間、ドル建てでおよそ1,550ドルから1,600ドル近くである。これは10グラム当たり約3万ルピーとなり、この1年にわたりほぼ最高値となっている。

この記事は、米国版InternationalBusinessTimesの記事を日本向けに抄訳したものです。(情報提供:IBTimes)

サーチナ  2012/08/18
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0818&f=business_0818_015.shtml