中国国防省の耿雁生報道官は31日の記者会見で、沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「日本側は中国の主権を侵害する誤った発言をしている」と不快感を表明したうえで、国家主権と海洋権益を守るために「軍としての職責を果たしていく」と述べ、日本を強く牽制(けんせい)した。中国軍関係者による対日強硬発言が最近相次いでいるが、背景には今秋に最高指導者に就任する習近平国家副主席の意向があると指摘する声がある。
 東京都の石原慎太郎知事による尖閣諸島購入構想が発表されて以降、中国外務省は反対の意向を繰り返しているが、胡錦濤主席、温家宝首相レベルの指導者はこの問題についてほとんど直接言及していない。南シナ海問題で東南アジア各国との緊張が高まるなど、中国の外交環境は悪化しており、日本との本格的対立を避けたいとの思惑があるからだ。

 その一方、軍関係者の強気な発言が目立つ。中国軍事科学学会副秘書長の羅援少将は7月9日付の中国紙への寄稿で、尖閣諸島付近に軍事演習地区を設けるべきだと提案。中国国防大学の金一南少将も同時期、中国メディアの取材に、「沖縄は中国の属国だった」との暴論を展開した。両少将はいずれも習氏が率いる元高級幹部子弟で構成する太子党のメンバーで、習氏の意向を反映していると指摘されている。

 党内の権力闘争で胡錦濤派に押されている習氏が唯一対抗できるのは軍内における影響力だ。軍内に太子党の仲間が大勢いることが、胡主席にない習氏の強みだ。軍関係者の多くは尖閣問題での胡主席の対応を弱腰と批判しているとされる。実際、同問題をめぐる世論調査では、「武力行使」を支持する中国人が9割を占めており、習近平派は世論にあわせ、胡錦濤指導部を強気の発言で牽制、自らの求心力を高める狙いがありそうだ。

産経 2012.7.31
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120731/chn12073120570009-n1.htm