フィリピンは31日、南シナ海の石油・ガス3鉱区の国際入札を実施した。3鉱区のうち2鉱区は、中国が領有権を主張する海域にあり、実効支配を強める中国は反発し、何らかの対抗措置をとるとみられる。
 3鉱区がある地域は、南西部パラワン島の周辺と、同島から北西に約80キロのリードバンク周辺。リードバンク周辺では昨年、中国船2隻がフィリピンの探査船の活動を妨害し、緊張が高まった。フィリピンのエネルギー省は「入札鉱区は、国連海洋法条約に基づき設定された、わが国の排他的経済水域(EEZ)内にある。資源を探査、開発する権利に議論の余地はない」としている。

 入札資格を獲得した企業は、オーストラリアのニド・ペトロリアム、スペインのレプソル、フランスのGDFスエズ、イタリアのENIなど15社にのぼる。このうち数社が実際に、入札に参加した。

 フィリピンは4月、別の12鉱区を入札にかけ16社が応札しており、9月にも落札する企業が選定される見通し。今回の3鉱区の入札はこれに続くもので、計15鉱区の開発投資は総額75億ドルと見積もられている。

 中国側はこれまで「いかなる国、政府、企業も中国政府の許可なく、中国の領海で開発することは違法だ」と非難し、入札を中止するよう圧力をかけてきた。一方では、南シナ海のベトナム周辺海域にある開発鉱区を、国際競争入札にかけると発表し、これにインド、ロシアと鉱区を共同開発する方針のベトナムが反発するなど、情勢は複雑さを増している。

産経 2012.7.31
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120731/asi12073122400002-n1.htm