ベトナム国営石油最大手のペトロベトナムは27日、中国の国有石油会社が南シナ海のベトナム近海で資源開発を実施する方針を示したことに強く抗議した。ベトナム側は中国に開発中止を求めるとともに、企業に国際入札に参加しないよう呼びかけた。両国の対立激化により、投資を検討する日本企業にも影響が出ている。
 中国海洋石油(CNOOC)がホームページで公表した23日付の公告によると、ベトナム近海の約16万平方キロメートルを石油や天然ガスの資源開発区に設定。9つの鉱区に分け、各鉱区で外国企業に国際入札による共同探査・開発への参加を呼びかけている。

 これに対し、ペトロベトナムのドー・ヴァン・ハウ社長兼最高経営責任者(CEO)は27日の会見で「CNOOCが設定した鉱区は完全にベトナムの排他的経済水域(EEZ)の内側にある。入札参加の呼びかけは無価値な違法行為だ」と厳しく抗議した。

 ベトナム外務省のルオン・タイン・ギ報道官も26日夜、中国の石油ガス開発を批判する声明を発表していた。ただ、ベトナムの国営企業が中国企業に公式に抗議するのは異例だ。

 日系企業への影響も懸念される。ペトロベトナムは日本企業に対し、南シナ海の約20鉱区における石油ガス田の共同開発を提案していた。

 7月上旬に説明会を開く予定だったが、延期が決まった。ハウ氏は「外国企業との開発計画や説明会は予定通り実施される」と強調したが、日本を含む外資はリスクを抱え込むことになり、投資に慎重になる可能性がある。

 ペトロベトナムによると、中国が指定する9鉱区はベトナムが主張するEEZ内に当たる、同国沿岸から200カイリ(約370キロメートル)内に位置する。同海域では米エクソンモービルやインド、ロシア、カナダの石油・ガス開発企業とペトロベトナムがすでに共同開発を進めている。

 ハウ社長は中国側が「国連海洋法条約と南シナ海行動宣言を尊重すべきだ」と強調。CNOOCに入札中止を要請するとともに、海外の石油開発関連企業に入札に参加しないよう呼びかけた。

 一方、中国外務省の洪磊副報道局長は27日の記者会見で「通常の企業行為であり、中国の法律と国際的慣行にも合致している」と強調。ベトナムの反発には「(南シナ海での)争いを複雑にして拡大するような行動を取らないよう求める」と答えた。

 ベトナム国会は21日、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島などの領有権を宣言するベトナム海洋法を採択。中国は即座に対抗措置を打ち出し、南沙・西沙・中沙の各諸島を管轄する新たな行政単位「海南省三沙市」の新設を発表した。

 今回の石油ガス開発もベトナムの一連の行動に対するけん制とみられる。両国の争いが国家間から企業間に拡大したことで、対立が一段と深まった。ベトナム国民の対中感情が悪化し、インターネット上ではここ数日、「反中デモ」を呼びかける書き込みが目立っている。

日経 2012/6/27
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