中国の景気指標が下振れをみせている。4〜6月期(第2四半期)の国内総生産(GDP)は8%の大台を割るとの観測も出ており、エコノミストたちは欧州の信用不安に続き中国経済の動きに神経をとがらせる。(フジサンケイビジネスアイ)

 梅雨空のような経済情勢だが、22日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、地方当局が省レベルの経済指標を1〜2ポイント水増しして北京に報告していると、香港発で報じた。指標の操作について、同紙は「極めて悪い経済のニュースを並の悪さに見せかける効果は十分だろう」とコメントした。

 現下の経済情勢下にも負けず、地方の指導者が経済手腕を誇示することが、統計操作の狙いである。中国共産党大会をこの秋に控え、どの地方書記も出世レースに躍起なのだ。

 その党大会で出世が確実視される李克強副首相(党内序列7位)が、中国のGDP統計が「人為的」で信用できないと、中国駐在のラント米国大使(当時)に語ったという2007年の話は、ウィキリークスのすっぱ抜きで米国務省の庁舎から世界に広がってしまった。

 経済評価のためには、GDPよりも「電力消費」「鉄道貨物量」「銀行融資」に注目すべきだ、という李氏のアドバイスは傾聴するとして、ここで気になることがある。水ぶくれのデータ処理や指標の操作を迫られる統計の専門家、すなわち中国国家統計局の官僚たちは、プロとして自分たちの仕事の現状をどうとらえているのだろうか。

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産経 2012.6.28