【湖州市(中国浙江省)=今村太郎】中国浙江省湖州市で起きた農民工(出稼ぎ農民)の暴動で、地元政府は二十八日、農民工が反発する「ミシン税」の徴収を当面見合わせることを決めた。また農民工らに暴行を加え、暴動のきっかけをつくった税金徴収員を解雇し、沈静化を図った。
地元住民によると、農民工の抗議行動は二十七日夜も続き、暴徒化した一部の農民工が幹線道路で車両を横転させたり、商店で略奪行為を働いたりした。二十八日にはストライキを行い、地元政府が徴税の見合わせなどの対策を発表した後も政府庁舎を取り囲み、緊張状態が続いた。

 今回の暴動は、低賃金による単純労働で、中国の経済発展を底辺で支える農民工の不満を浮き彫りにした。中国の農民の平均年収は約六千元(約七万二千円)とされ、多くが生活費や貯蓄のため出稼ぎに出るが、出稼ぎ先での待遇は厳しい。

 湖州市の衣料工場で働く安徽省出身の女性(29)は「一日十五時間服を縫い続けても、月収は二千〜三千元。物価は高く、生活は苦しい」と打ち明ける。

 暴動の起きた湖州市織里鎮は中国最大級の子ども服生産地。地元政府が、子ども服メーカーが所有するミシンに対して課税されるミシン税を引き上げ、メーカー側が農民工の給与を削って対応したことで農民工の間に不満が高まり、税金徴収員の暴行をきっかけに一気に爆発した。

東京新聞 2011年10月29日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011102902000028.html