香港紙「蘋果日報」は26日、北京大学新聞・メディア学院元准教授の焦国標氏による「中国はうそ話の体系の上で動いている社会」と主張する文章を掲載した。
  文章はまず、中華人民共和国成立直後の共産党の資本家に対する処置を例に挙げた。毛沢東主席、周恩来首相をはじめとする共産党上層部は当初、「資本家は友だ」と言って、新中国建設への協力を求めたが、その結果は「財産は取り上げられ、家は傾き、生かされるのか殺されるのかもわからないことになった」と指摘した。

  共産党の資本家に対する扱いについては「人心を安定させるため、裕福な人の財産を没収する『清算』は行わないと表明せざるをえなかった」との擁護論もあるが、文章は「私は、そのような見方をしない」と主張。「資本家を豚と同じに扱い、柵の中に入れておいて、いつでも取り出して、殺して食べられるようにした」との見方を示した。

  中国人の精神土壌として、欧米人のような絶対神に対する信仰がなかったことを重視。中国人にとって崇拝の対象は孔子にせよ仏陀(ぶっだ)であれ、「結局は人」だったと論じ、そのため、中国人は絶対神に対して悔悟をしたことがなく、悔悟するという精神そのものを持たないことになったと主張した。その結果、「本当の魂を持たない存在」になってしまい、「権謀や算術だけを行う魂の持ち主になった」という。

  このような「心の潜在法則」により出現したのは、体系的な「うそ話」で、中国は「中国はうそ話の体系の上で動いている社会」であり中国国土は「うそ話という氷山が浮いているようなもの」と酷評した。

  さらに、北京大学の張維迎教授の「中国は学校をすべて廃止してしまえ。知識は減るだろうが道徳は向上するかもしれない」、「中国の教育とは、小学校入学当初から生徒にうそを教えることだ」との主張を引用し、「まさに、その通り」と賛意を示した。

  文章は結論部分で「中国で最大かつ最高のうそは、中国人には言論と結社、集会、信仰の自由が保障されていると、(当局が)保証していることだ」と指摘した。

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◆解説◆
  張維迎北京大学教授は9月中旬に大連市で開催された2011年夏季ダボス会議「学校をすべて廃止せよ」、「中国の教育とは、小学校入学当初から生徒にうそを教えることだ」と発言した。張教授は、「中国の教育は失敗した。自主的な創造性がある人材の育成を注視せず、人を育成する人の育成も注視してこなかった」、「小学校期から一歩、一歩、うそをつくことを教え込んでいる。その結果、国民のレベルを低くするという極めて大きな影響が生じている」と主張した。

  焦国標氏は、「中国共産党は愚民政策を実行している」などと批判。米国訪問中に「辞職」の形で2004年に北京大学を解雇された。北京大学は「大学の許可を得ずに外国を訪問したため」と説明したが、焦氏は「共産党の報復」と主張した。焦氏はその後も、言論の自由や民主化を主張する言動を続けている。

サーチナ 2011/09/27
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?