「ネパールの子どもを支援する会」が現地に掘った井戸=いずれも同会提供

 国分寺市の市民グループ「ネパールの子どもを支援する会」が、市民から募った寄付金で現地の井戸を掘る活動を始めてから今年で10年目を迎えた。劣悪な水事情から、子どもたちの命が奪われていく実態を知って始めた取り組みだ。市内の小中学校も募金活動に参加し、掘った井戸の数は60を超えた。今年3月にはネパール大統領から感謝状を贈られた。
 同会は1999年に発足。市内であった国際交流の催しでネパールの青年が「ネパールはアジアでいちばん貧しい国。多くの子どもたちが学校に行けない」と訴えたことに心を動かされた市民が中心となって立ち上げられた。以来、市内の小中学生らが集めた文房具を現地に運ぶなどの支援を続けてきた。

 井戸の掘削事業を始めたのは02年。現地の井戸は深さ5メートルほどと浅く、同会が水質検査をしてみると、大腸菌や雑菌などの汚染が日本の下水とほぼ同じだということがわかったためだ。「子どもたちを危険な水から守りたい」と考えたという。

 現地の職人を雇えば5万円程度で井戸が掘れることもわかり、さっそく、寄付を募った。
市内外約15の小中学校が名乗りを挙げたほか、市民や団体の協力も得られ、これまでに64の井戸が完成し、今年度も数カ所で掘削する予定だ。井戸の脇には、寄付してくれた学校や団体の名前を記したプレートを立てている。

 09年3月には、市民らから集めた募金で建てた中学校が現地で開校。昨年からは資金の一部を寄付した高校の建設が始まった。

 こうした活動に対し、今年3月、ネパールの大統領が同会のメンバーを官邸に招待、感謝状を贈呈した。
同会代表の増田加代子さんは「支援に協力してくれた子どもたちに背中を押されて活動を続けてこられた。ネパール中にきれいな水が行き渡るように、これからも支援していきたい」と話した。

朝日 2011年08月28日
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