【ダラムサラ(インド)時事】「今こそ変革への好機だ」「若い首相でも結果を出してくれる」−。インド北部ダラムサラのチベット亡命政府の新首相に米在住の学者ロブサン・センゲ氏(43)が決まったことについて、ダラムサラで暮らす亡命チベット人からは28日、センゲ氏を応援する声が相次いだ。しかし、政治経験のない同氏の指導力を不安視する見方もある。
 食料品店を営むアテン・ギャル氏(29)は「チベット人が独力で生きる社会の創設をセンゲ氏は訴えている。良い結果が出るかは誰も分からないが、今こそ彼と共に変革への行動を起こすべきだ」と全面的に支持する考えを強調した。中国チベット自治区の村に生まれた同氏は17歳でラサに移住したが、中国当局から賃金未払いなど嫌がらせを受け5年前にインドに移ったという。同氏はチベットの独立でなく自治拡大を目指すチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の「中道路線」を継承するセンゲ氏に理解を示した上で、「中国は強く、独立は高価な着物のように手が出ない。私は『自治』という最低限の衣服が欲しいだけ」と語気を強めた。

 ダライ・ラマの住居から程近い寺院で武道の修行中だった僧侶ナワン・ジグメ氏(22)も、ダライ・ラマが3月に自身の引退と新首相への権限移譲を発表したことを「革新的」と評価。ダライ・ラマは自らの死去後に亡命チベット人が困難に直面することを見越し、その備えとして今から首相への権限移譲を考えたと指摘した。

 一方、住民はダライ・ラマ引退への不安も素直に口にした。僧侶ロブサン氏(62)は「ダライ・ラマは偉大な存在で、比較すればセンゲ氏はそこまでではない」とカリスマ性のなさを憂慮する。また、衣料品店の女性店員は若い新首相誕生を歓迎しつつ、ダライ・ラマが高齢化している現実に「大きな恐れを感じる」と話した。

時事ドットコム 2011/04/28
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011042801045