中国では昔から、「順口溜」という韻文風の風刺文学がある。日本の川柳をいくつかくっつけて出来上がったようなものだ。その内容も川柳と同様、おかしげな社会現象への風刺や惨めな立場にある人々による自嘲などが主である。


 ネットの世界ではこの類いのものが常に流布されているが、それらを読んでみると、笑いを誘われながらも中国の世相がよく分かってくる気がする。

 たとえば近年来、深刻な社会問題となっている貧富の格差の拡大を反映して、「貧乏人」と「金持ち」に関する次のような順口溜が出回っている。

 女房が人と寝るのは貧乏人だが、人の女房と寝るのは金持ちである。

 牛や豚を飼う奴は貧乏人だが、犬や猫をペットにする奴は金持ちである。

 田んぼで稲を植える奴は貧乏人だが、庭で花を育てる奴は金持ちである。

 土を耕す奴は一生の貧乏人だが、土地を売買する奴は子孫まで金持ちである。
 ホンモノを作っていても貧乏人のままだが、ニセモノを作るとたちまち金持ちになる。栄養食品を作って売る奴は、しょせん貧乏人だが、有毒食品でも作って売れば金持ちの仲間入りができる。

 友人から借金する奴は貧乏人だが、国からカネを掠(かす)めた奴は大金持ちである。

 以上の順口溜を読めば、現在の中国で一体どういう人たちが金持ちとなって、逆にどんな人たちが貧困にあえいでいるのかがよく分かる。

 とにかく、働き者や正直者が貧乏人となって、悪い奴ほど金持ちになるというのは、まさしく「社会主義大国」中国社会の実情なのである。

 それでは、この国の貧乏人たちはどのように生きているのか。次のような有名な順口溜がある。

 結婚はしたいけどそれは無理なことだ。マンションも車も持たない俺に誰が嫁に来るというのか。

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産経新聞 2011.4.28
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110428/chn11042812050002-n1.htm