インド北部ダラムサラに本拠を置くチベット亡命政府の新首相に、米ハーバード大上級研究員のロブサン・サンガイ氏(43)が当選した。チベット人を政治・宗教両面で率いてきたダライ・ラマ14世(75)の没後を見据え、変革期のかじ取りを担うことになる。
 同政府の選挙管理委員会が27日発表した。任期は5年。有権者は世界各地に分散するチベット難民約8万3千人で、3月20日に一斉に投票が行われた。サンガイ氏は選挙戦で、チベットでの人権状況の改善や亡命政府の世代交代を主張。得票率は55%だった。

 チベットへの帰国の道筋が見えず、閉塞(へいそく)感にさいなまれる若年層や、ダライ・ラマの対中国対話路線に飽き足らない急進的な僧侶の支持が大きかったとみられている。

 亡命政府の首相はこれまで、ダライ・ラマを実務面で補佐する役割が大半だったが、ダライ・ラマは今年3月、高齢を理由に政治ポストからの引退を表明。首相らに政治権限を移譲し、自身は宗教面での役割に専念する意向を示した。

 ダライ・ラマが死去した場合、チベット仏教の慣例に従って転生者を探すことになるが、かなりの年月がかかるうえ、中国政府が介入するのは必至だ。直接選挙で選ばれた首相を政治指導者として立てることで、混乱を抑える狙いがあるとみられている。

 ただ、ダライ・ラマはノーベル平和賞を受賞するなど、国際社会から高く評価されている。その求心力をサンガイ氏がどこまで引き継げるのか、不透明感は否めない。

朝日 2011年4月27日
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