【北京=佐伯聡士】中国側がハノイでの日中首脳会談を拒否したことについて、中国各紙は30日、「両国首脳が会談を行うのに必要な雰囲気を日本側が壊した」とする見出しを1面に掲載し、会談が実現しなかった責任が日本側だけにあるとの論調を展開した。

 日本を一方的に強く非難することで、反日感情が沸騰する国内の「ネット世論」向けに対日強硬姿勢を示す狙いがあるとみられる。

 中国紙「新京報」などは、胡正躍外務次官補がハノイで、「日本側は、中国の主権と領土を侵す言論をまき散らした」などと発言したことや、「東シナ海のガス田開発をめぐる条約締結交渉再開で合意した」とする報道が正しくないとの中国側の主張のみを掲載。

 中国側が土壇場で会談を拒否した理由に挙げる「ガス田交渉再開合意」報道は、AFP通信の配信記事を指しているとみられる。こうした報道が中国国内に広まれば、ネット世論で「対日弱腰」外交との批判につながることを強く懸念したとの見方が強い。中国国内で「対中強硬派」とされる前原外相との会談で「安易な合意」をしたとの印象が強まるのは絶対に避けたい。日米外相会談で「尖閣諸島は日米安全保障条約の範囲内」と確認し、中国側を刺激した直後だけに、なおさらだ。

 しかも、反日デモが内陸部の地方都市で続発している中、胡錦濤政権には、温家宝首相が菅首相と正式会談に応じ、2人が握手した写真を国内で報じるわけにいかないとの事情もある。

読売新聞 2010年10月30日
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