「双十節」も10日、つつがなく終わり、馬英九政権は来年の「中華民国建国100周年」を盛大に祝う準備に着手する。だが台湾在留邦人にとっては尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題での台湾の動向が不透明で、いっこうに気が休まらない。

 「本日午後、漁船数隻で釣魚島に向かい、上陸をめざす!」。双十節を2日後に控えた8日午前、中華保釣(尖閣防衛)協会からこんな“決起文”が台北の内外メディアに届いた。

 中国漁船の日本巡視船体当たり事件がひとまず収拾に向かい始めた直後だっただけに、何ともやりきれない思いをさせられた。

 中華保釣協会は9月14日にも尖閣諸島周辺で対日抗議行動を展開していた。馬英九政権は「合法的な抗議行動は認める」方針で、台湾の海上保安庁に当たる海岸巡防署艦船の護衛付きの行動だった。

 今回は当局が「船の通信設備の不備」などの法的理由で出港を禁止して、事なきを得た。保釣協会の活動家は海に飛び込んだりして当局に抗議、「体制を再整備して後日出航をめざす」そうだ。

 同協会の会員は100人あまりだが、中国、香港などの団体との連携は緊密のようだ。良好な日台関係が彼らに左右されかねない現状を打開するために、双方が知恵を出し合うときだ。(山本勲)

産経新聞 2010.10.13
http://sankei.jp.msn.com/