【上海=小坂井文彦】中国で税務署に申告されない「灰色収入」は二〇〇八年の一年間に九兆元(約百十三兆円)に上ったことが分かった。改革基金会国民経済研究所の王小魯副所長が、推計値をインターネット上のブログで明らかにした。

 同研究所が調査した〇五年の推計値は四兆八千五百億元だったため、三年間で約二倍にふくれあがったことになる。灰色収入はワイロや脱税した収入も含まれるが、この中で最大なのは給与や報酬などで計約三兆八千億元となり、政府関係者が一兆八千億元を得ているという。

 国民一人当たり七千元の計算だが、高額所得者ほど未申告の収入が多い。中国紙・信息時報は、都市部の世帯収入の上位二割に、灰色収入を加えると平均で年収二十四万元になり、市民の実感に合う水準に近づく、と伝えた。

 国家税務総局は〇六年に高額所得者に確定申告を義務づけ、申告漏れには税額の五倍の罰金を科す制度などを始めたが、機能していないようだ。

東京新聞 2010年8月23日
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