【瀋陽=西村大輔】中国メディアによると、中国吉林省吉林市の化学工場で28日、洪水の影響で有毒な化学物質が入ったドラム缶約3千本(1本160〜170キロ)が松花江に流れ出し、同市内の給水が一時停止するなど混乱を招いている。

 地元報道によると、化学物質は工業用の脱水剤などに使われるクロロトリメチルシランで、揮発性が高く吸い込むと強い刺激があり、肺炎などを引き起こす可能性があるという。7千本が流出し、このうち4千本は空だったという。同市当局は下流の各地でドラム缶を回収したり、水質を検査したりしている。当局によると今のところ、水質汚染は確認されていない。

 同市内のホテルの女性従業員によると、28日に断水となり、多くの市民がミネラルウオーターなどを競って買い求めた。飲料の価格は2倍に跳ね上がったあげく、売り切れた。29日から水道は復旧した。

朝日新聞 2010年7月30日
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