開幕からまもなく3カ月が経過する上海万博。夏休みに入り連日50万人前後の入場者で混雑が続くが、地元紙によると、会場のゲート付近で高齢者の客引きが数多く目撃されている。「私を貸し出します」と書いたボードと年齢を示す証明書をみせ、その場で“即席家族”となっては揚々と会場に消える。

 多くのパビリオンが75歳以上の高齢者や車いすの障害者への優先入り口からの入館を認め、その付き添い家族も同時入館できることに目をつけたあざとい商売だ。入場料や食事代はお客持ち。車いすをお客に押してもらいながら、人気のパビリオンも楽々と見学でき、その上、おこづかいも稼げるときている。

 こうしたやからに待ったをかけ始めたのはカナダ館。年齢証明の確認に加え、同伴者に高齢者の氏名や生年月日をたずね、答えられなければ入館を拒否する。だが人手不足の問題もあり、多くのパビリオンで対応に苦慮しているのが実情だ。

 上海万博のパビリオン優先入り口をめぐっては、これまでも車いすで障害者を装った健常者や、小学生の子供を無理にベビーカーに乗せて係員にねじ込むケースなどが目撃されている。それにしても、75歳を超える地元の高齢者が自ら“即席家族”を売り込むなどという手口は、想像を絶する。(河崎真澄)

産経新聞 2010.7.29
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