2010年6月26日、中国科学院持続可能発展戦略グループのリーダーで首席科学者の牛文元(ニウ・ウェンユエン)氏は、「中国の労働力コストは依然として世界のトップレベルの競争力を備えており、今後10年間は安定した供給が可能である」との考えを明らかにした。中国新聞網が伝えた。

牛氏は、中国政府が外国組織と協力して初めて開催した人口問題に関するフォーラム「人口流動移転と都市化に関する国際討論会」で、各国の労働コストについて触れ、中国を1.0とすると、各国の労働力コストは、米国3.1、日本3.0、香港2.9、南アフリカ2.6、韓国2.2、インド1.3であると紹介した。

牛氏は「中国の第1次産業の人口比率は非常に大きく、余剰労働力の移転にはまだ大きな余地がある。金融危機による経済低迷から回復する段階で、経済発展著しい東部工業地区で労働力不足が発生したが、実際には中国では今後10年間“ルイスの転換点”は出現しないだろう」と指摘した。

(注:ルイスの転換点とは、工業化前の社会が抱えている農業部門の余剰人口が、やがて工業部門への移転が進み、農業部門の余剰人口が底を突いた時点を指す。その後、雇用需給が逼迫し、賃金上昇、消費拡大、インフレ率の上昇などが発生する、経済成長過程の重要な転換点とされる。ノーベル経済学賞を受賞したイギリスの経済学者アーサー・ルイスが提唱した概念)(翻訳・編集/HA)

レコードチャイナ 2010-06-30
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